テラーノベル
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「……来んな……頼むから、来ないでくれ……っ!」
岩本は絶叫していた。彼の背後には、最後のブロック。それを守るように、彼の体は勝手に銃を乱射し始める。
「照! 落ち着け!」
「ふっか……っ、逃げろ! 指が、勝手に動くんだよ!」
岩本の瞳には分厚い涙が溜まっていた。殺したくない、愛するメンバーを傷つけたくない。その心とは裏腹に、訓練された正確な射撃が渡辺と深澤を追い詰める。
「なべ、聞け」
遮蔽物の影で、深澤が静かに告げた。その瞳は、いつになく穏やかだった。
「俺が囮になる。お前はその隙にブロックを奪って、入り口まで走れ」
「何言ってんだよ、ふっか! お前、死ぬ気か!?」
「いいから行け! Snow Manを守れ、翔太!」
深澤が飛び出した。「おい、照! こっちだ!」
岩本の銃口が深澤を追う。その一瞬の隙を突き、渡辺は岩本の背後からブロックを強奪した。
「走れぇ! 翔太ぁぁ!」
深澤の叫びを背に、渡辺は入り口へと全力で疾走する。だが、深澤は岩本の圧倒的な脚力から逃げ切ることはできなかった。
行き止まりの壁。振り返った深澤の額に、岩本の銃口が冷たく押し当てられる。
岩本の顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。
「……ふっか。ごめん。……ありがとな。お前がいたから、俺はここまで来れたんだ。愛してるよ、ふっか」
「照……。」
ドォォォォン――。
入り口まであと数メートルのところで、渡辺はその音を聞いた。
「……っ、ふっかあああ!!」
視界が涙で歪む。箱にブロックを叩き込んだ瞬間、デジタル時計は「00:12」を示していた。
『深澤辰哉、脱落。逃走者は残り4名。ゲームクリア』
勝利の合図。しかし、渡辺はその場に膝をつき、声を上げて泣き続けた。
やがて、阿部、目黒、ラウールの3人が、魂が抜けたような足取りで合流する。
誰も言葉を発せられない。生き残った喜びなどどこにもない。そこにあるのは、たった今引き裂かれたばかりの絆の痛みだけだった。