テラーノベル
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放課後、昇降口を出ると、見慣れた背中が目に入った。
「……悠真さん?」
声をかけると、悠真が振り返り、軽く手を上げる。
「おう。亮に呼ばれて来たんだけどな――ついでに買い出し頼まれちまって」
手にしたメモをひらひらさせて笑う。
「えっ……買い出し、ですか?」
「うん。どうせ帰り道だし、妹ちゃんも一緒にどう?」
何気ない調子で言われたのに、咲の胸は一気に熱を帯びた。
「……はい」
小さく返事をして歩き出す。
並んで校門を出る足音が、妙に近く感じられた。
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