テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
駅前のスーパーに着くと、悠真が買い物カゴを手にした。
「じゃ、これ持って。亮のメモはこっち」
自然に差し出され、咲は慌てて両手で受け取る。
「牛乳と卵……あとは冷凍餃子?」
メモを読み上げながら歩くと、悠真が横でクスクス笑った。
「なんか主婦みたいだな」
「そ、そんなこと……」
顔が熱くなるのを隠すように、咲は牛乳をカゴに入れた。
高い棚の商品を手に取ろうとして背伸びすると、悠真が横からすっと取って渡してくれる。
「ほら」
指先が一瞬触れて、咲の心臓が跳ねた。
「……ありがとうございます」
消え入りそうな声で礼を言いながら、咲はカゴを抱きしめるように持った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!