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kyng × inm
不穏、エセ関西弁注意
妖怪万化のinmさんビジュイメージです
inm視点
ずっとずっと、俺がもっと力があればなんて思ってた。
今まで助けて貰ってたのにいざ自分が助ける側に立った時この手から色んな命を取りこぼした。
俺には向いてないのかもしれないと心が折れそうな時ももう生きていたくないと思った時もあった。
それでも、それでも”ヒーロー”で居たかった。
俺が、中学の時の俺を助けたくてなったヒーロー。
俺が思ってた現実とは違かったヒーロー。
こんなの、ヒーローじゃない。
俺は、俺は”昔の俺の”ヒーローにすらなれない。
助けたかった、助けられなかった。
助けて欲しかった、助けて貰えなかった。
俺がただの人間だから。
救えない、助けられない、生かせない。
もし俺がロウだったら、カゲツだったら、星導だったらもっともっと沢山の人を助けられたのに、きっと3人なら昔の俺のことも助けられたのに。
俺は3人と同じところには立てない。
最初からずっとわかっていたことだった。
それでも、それでもヒーローになりたくて陰口も、悪口も、嫌がらせも全部全部全部全部全部耐えてきてやっと雷獣になれた、なれたのに!
なんで今、俺は3人に冷たい目を向けられてるの…………?
こんなところで自覚したくなかった。
おれ、きらわれてたんだ。
要らなかったんだ。ここから居なくならなくちゃ、今すぐに。
でも、どこに行けばいい?
どこ、どこに……
そういえばこの先、崖だったよな。
“それなら落ちてしまえばいい”
kyng視点
ライが帰ってこないからカゲツと星導と俺の3人で今回の任務地に行ってみればいつもとは違い和服に身を纏い頭には大きめの耳と腰あたりには尾が着いていた。
「……ライ?」
「ロウ、るべ、カゲツ!!
ねぇ聞いて!俺雷獣になったみたい!
やっとやっと、3人と同じところに立てる!」
なんて嬉しそうにしているがこれほんとにライか?何かに乗っ取られたのでは?とかやっと同じところに立てるってなんだよ。なんて思って少し苛立っていれば先程まで嬉しそうにこちらを見ていたのにゆっくりと絶望したような顔に変わっていった。
「……ライ、?」
焦った表情の奥に絶望したような表情が見られる。
しかも先程まで嬉しそうに両手を伸ばしてきてたのに急に後ずさり始めたと思ったら俯いて胸元あたりの服をきつく握り始めた。
「……ぁ、ごめん。」
なんて言って拠点とは反対方向に走り出す。
「おい、待て!!」
「ライ、ダメです!そっちは……」
どれだけ止めようとしても聞こえていないかのように走っていく。
「カゲツ、挟み撃ち出来るか。」
「やってみるわ」
「星導、お前右側から来れるか」
「わかりました。」
なんて了承の言葉を聞いてから走り出す。
ライは目の前。あと少しで俺とカゲツの手が届くというところでライが崖の下にある海に向かって倒れていく。
間に合わないかもしれない。
そう思ったが今全力を出さなければライは確実に死ぬ。
雷獣になったとは言えまだなったばかり、体も馴染んでいないだろうタイミングで死んでしまったらライも救われない気がした。
無理やり足を動かして落ちかけたライの腕を掴む。
「ライ、!!!」
「狼!僕も手伝うわ!ちゃんと握っとけよ!」
インカムに電源を入れて星導に連絡する。
「星導ッ、早く来い!」
「は、ちょっと!!」
とか切れてる星導の声をそのままにライの方に意識を戻す。
崖の為下手すれば3人とも海の藻屑になる可能性もある。
まずい、だいぶ限界が近い。
はやくこい、星導!
「小柳くん、カゲツ。お待たせしました。」
なんて間延びした声が聞こえたと思えば星導の触手で俺ごとライを持ち上げてくれた。
「はぁ、遅せぇよ星導。」
「そうやぞ!もうちょっと早く来れたやろ!」
「これでもだいぶ急いだんですけど……」
なんて言ってる星導の息はきれていて本当に急いできてくれたことがわかるが、だいぶギリギリだったのでもう少し早く来てくれても良かったのではと思ってしまう俺もいる。
が、そんなことどうだっていい。
ライが助かったのだから。
「ライ」
名前を呼べばびっくりしたように後ろに下がろうとする。
ライの後ろには森がある。
先程よりも時間が経っているため雷獣の能力が体に馴染んできているはず。
このまま逃げられたらまずいとライの肩に手を添える。
「雷獣になったって言ってたけど本当か?」
「……ぅん。」
「それ、一時的なものなんですか?」
「そんな風には見えんけどな。」
「なんか、元々雷獣?みたいで
20歳を超えてて力に選ばれた人だけが力を使えるようになる!!とか何とか……。」
「じゃあ元々雷獣だったってことなん?」
「そうみたい。」
「じゃあ力が使えるようになっただけなんですね。」
「はぁ〜……まじ良かったわ。
めちゃくちゃ焦った。」
「マジごめん…。笑
なんか嫌われたかも?って思ったらなんか走ってた。笑」
「なんかじゃねぇよ……
まぁじでめちゃくちゃ焦ったわ。」
「狼今まで見た事ないぐらいの速さでライ追ってたもんな。
僕も追いつくのに必死だったわ。」
「え、なにそれ見たかったんですけど!」
「そうなの?笑」
「あーあーうるせぇ。
そりゃ大切なんだから慌てるし焦るだろ。」
「は、?待って待って。
大切って何?」
「あ〜、じゃあ俺とカゲツ2人でご飯食べに行くんでお幸せに〜。」
「じゃあな。」
「いや待って!2人にしないで!」
「俺と2人は嫌なのかよ。」
そう言って肩に添えていた手でライの手を握り、もう片方の手で頬を包むように触る。
「いや、そんなこと言ってないけど!
今の状況で2人は気まずいじゃん!」
「…残念だったな、もうカゲツも星導も居ねぇよ。」
「え、ほんとだ……。」
「、嫌なら嫌って言ってもらって構わない。
俺の眷属になってくれないか。」
「……なにそれ、
なんかゲームみたい。笑」
「はぁ、?人が真面目に告白してんのに
お前ってやつは!笑」
なんて言いながらほっぺたを抓る。
「いたぃ、いたい!笑」
いつもはしないくふくふした笑い方。
そんな笑い方する事あるのか。なんて思って少しびっくりするがしばらくしたら言い表せないほどの幸福感が溢れてきた。
きっとこの笑い方は相方のマナの前でも見せない笑い方なんだろうなと思ったら急に胸が暖かくなった。
「ろぅ、。」
「ん?」
「ほっぺから手離して。
一旦。」
「あいよ。」
「ありがと。、」
「ろう……、あの。
…ろう、の眷属にして。」
予想してたより何倍も可愛い返事が返ってきた