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ショウにゃんの気持ちに、どこまで踏み入れていいのかわからない。
episode23(番外編的な…)
【3日前 類が久しぶりに学校に行った日】
今こうして学校で授業を受けている時間がもったいなく感じる。
こうしている時間があれば、ショウにゃんと一緒に居たい。
これぞ無駄な時間だ。
「類ー、次移動だぞー」
「…帰りたい…。」
「何言ってんだよ…まだ1限目終わったばっかりじゃん…。」
はぁ〜…早くショウにゃんに会いたい…。
「おい、二人共なにしてんだ?後5分だけど」
だらだらと話していると、周りにはもう俺たちしかいなかった。
「しかも次横田だろ?最悪〜…」
「その次数学IIだしな。」
「だる〜…」
「とにかく遅れるぞ。類はともかく修也はまずいだろ。次こそ成績だだ下がりだな。」
「そうだった!!早く行くぞ、類!」
いつもの会話すぎて、それもだるい…。
「本当にだるそうだな。大丈夫か?」
2限目が終わり、ため息ばかりつく俺に違和感を感じたのか、漣は本気で心配してきた。
「へーき。早くショウにゃんと遊びたい…。」
「…でも、類が学校行くってなったとき、笑くんは喜んでくれたんだろ?」
「…」
『え!?類さん学校行くの!?すっげーじゃん!頑張ってね!(*^^*)』
あの天使のような…いや、天使の笑顔を思い出すと、自然とやる気が湧いてくる。
「お、急に姿勢正すじゃん。」
頑張ろう…。
「てか、修也は?」
「ん?先生に3回目の遅刻の記念として説教くらってる。」
「そりゃいいなw」
「あの…!」
弁当を食べようと3人で屋上へ向かっていると、一人の女子生徒が話しかけてきた。
「漣、用だって。」
「お前だよ。」
「あ、あの…!峰堀くん…!その…ちょ、ちょっといいかな…?」
…え?やだ。
女子生徒に付いていき、たどり着いたのは中庭だった。
「私、香織っていいます!その…ずっと峰堀くんのこと見てて…かっこいいなって思って!だから、お、お友達になってください!!」
…お友達…ね…。
「それってさ、本当にお友達がいいって思ってる?」
「え?」
「何かしらの欲求がまだあるんじゃないの?あわよくば、付き合いたいとか。俺の体目当てだったり。」
「そ、そんなこと無いです…!!///」
「そういう周りくどい言い方嫌なんだよね。ごめんけど、香織さんとは仲良く出来ないみたい。じゃあね。」
「え!?…そ、そんな…」
今にも泣きそうな顔に背を向けて、先に屋上にいる2人へ向かう。
なんでそんなに俺が良いんだ…?
大体、すぐさま何でもかんでも告白しがちなんだよ。本当に愛してんなら、もう少し相手を知ってからの方がいいに決まってる。
そうだよ…。
退屈で、面倒で…。やっぱり学校は嫌いだ。
中庭から出ると、すぐ近くに修也と漣が居た。
まさか…聞いてたな…?
「何してんだよ。」
「いやー…すまんすまん。」
「お前、女泣かせるの得意だろ…。」
信頼した俺がバカだった…。
「はいはい。もう食べよう。早く食べたい。」
「そんな食いしん坊だったけ?」
「は?ショウにゃんが作ってくれたんだ。早く食べたいに決まってるだろ。」
「すべて納得。」
「類の弁当めっちゃ美味そ〜!✨」
屋上は思ったより人は少なく、風通りが良かった。
「だろ?」
「一口頂戴!!」
「絶対嫌だ。」
弁当は、今まで食べてきた弁当よりも遥かに美味しそうで、テンションが上がるものだった。
「何で!?ケチ!!!」
「無理に決まってるだろ。せっかくショウにゃんが俺のために作ってくれたんだ。お前に食べる権利は無い!」
「酷い!!」
「二人共うるせぇ。」
この会話は、いいのかも…。
「やっと終わったー!!!」
6限目が終わり、前の席の修也が大きく背伸びをした。
「ホント、やっと終わった…。」
これでショウにゃんに会える…。早く帰ろう…。
「なぁ、類!これからー…」
「行かない。」
「まだ何も言ってない!!」
ただでさえ今日が長く感じたのに、さらに長くできるか。
「俺帰るから。」
「はいはい、そうですよね、帰ったら愛しい愛しいショウにゃんが待ってますもんねー」
「…なんだよ。」
「別に〜?」
「あ、類!横田が呼んでんぞー」
「え?類が?」
げっ!もう、何なんだよ…!
「今日は久しぶりの登校だったな。」
「そうですね。」
職員室に行き、横田は何処か不満げだった。
「…お前、これから学校に行かない気か?」
「…気分によります。」
「進路も大変だろ?お前、わかっているのか?」
「分かってます。」
はぁ〜…めんどくせぇ…。
進路とか、俺まだ高2なんだけど…?先生は心配しすぎなんだよ…。
「…聞いてるのか?これはお前の未来に関わることなんだぞ!」
「聞いてますって…。」
「…お前のことを、親にも相談した。」
え?
「は?」
「あ?だから、親にも説明したんだ。学校に行ってないこと、お前の過去もいろいろな…!」
は?どういうことだ…?何勝手にバラしてんだよ?
横田は俺に話しかけているようだが、俺の脳内にその声は届かなかった。
駄目だ…。親にバレたら駄目なんだ…。ふざけてる…。
「だからなー…」
「俺、帰ります…。」
「あ?」
「さようなら。」
「は?ちょっと待て!まだ話は終わってないぞ!!…何だ?それともここに母親を呼ぶか…?!」
腕を掴む横田の手を振り払う。
「母親はもう死んだんだ!!」
「…!!」
「これ以上俺に突っかかるな!!!」
怒鳴り声が職員室内に響き、俺はその場から去った。
どいつもこいつも何なんだよ。何も知らないで、人の弱点を踏みにじって!そんなにいいか?そんなに楽しいか?!
偽善者ばっかだ。
「よ!類!遅かったじゃん!」
「……なんで2人とも帰ってないんだよ。」
学校を出ると、二人して座って待っていた。
「別に良いだろ。早く帰るぞ。」
出来れば一人で帰りたかった…。
でも、2人なりに気を使ってくれているのだろうか。
「…よく、通えるよな。こんな学校。」
「ん?どした、類?」
「いや、ちょっと疲れただけだ。」
「…まあ、いつか前みたいに、3人で遊べるかもなんて思ってるからな。」
「…え?」
「何でもねーよ。とりあえず、早く帰ろうぜ。電車に乗り遅れる。」
「そうそう!それに、早くショウにゃんに会いたいんだろ?」
良かった、予め連絡しといて…。
「…そうだよ。」
「ったく、キモいオタクだな」
「黙れ。」
「…まあ、気が向いたらいつでも学校来いよ。俺等はお前と早く遊びたいからな」
「…その言葉が一番優しいよ。」
「なんか二人で話してるけどなんの話?」
「大人の話。」
「なんだよそれ!」
久しぶりの電車は騒がしくて、懐かしい感じもする。
ショウにゃんに不良ってことバレたくなくて、家の場所を説明するとき、なるべく近いとこにした。という嘘をついたけど…
がっつり遠いよな、これ…。
「…女子の視線が熱いぜ…!」
「それお前じゃなくて類にな。」
「そんなの俺が一番分かってんだよ…!!」
「じゃあ、何で言うんだよ。」
…進路…。
『お前のこと、親にも相談した。』
あれは本当だろうか…。もし本当なら、俺は殺される。精神的に…。
…嫌いだ。
昔から親が大嫌いだ。そして先生も、人ですら。
みんなみんな大嫌いだ。
中学生の頃、俺はいじめられてた。毎日冷たい水を当たり前のように浴びせられて、ゴミ箱の中に突っ込まされて。
ずっと、笑われてたんだ。
元々根暗だったから、それが原因かもしれないけれど。先生に相談しても、気のせいだと言うだけで、何もしてくれない。
だからみんな大嫌いだった。
みんな消えてほしいし、幸せな人を見ると憎くて仕方ない…。
《まもなく、電車が止まります。ーー…》
「お、類!移動しようぜ!」
「うん。」
電車を降り、そこには見覚えのある後ろ姿があった。
「!!✨」
幸せだ。
まるで暗闇から開放されたかのように、安心した気持ちになった。
今、まさに凄く会いたくて会いたくて仕方なかったんだ。
ショウにゃんを見るたびに、どんどん好きになっていくのは
凄く会いたいって、毎回思うのは
大好きだって感じるのは
ショウにゃんに出会えて、笑くんに出会えて…
我慢できなくなり、ショウにゃんに思いっきり抱きつく。
心から、良かったって思えるのはー…!
「うわ〜〜〜〜!?」
好きだから…!!
これが恋ではないなら、一体何だっていうんだ。