今回はこの話の折り返し地点です。
えっ?まだ折り返し地点?って感じですよね。すみません😅
俺は今度のキスも頬の時と同じように、なにか理由をつけてはチュッっと軽いキスを繰り返していった。
そうして少しずつ涼ちゃんの戸惑いがおさまって、なんとなくその状況に慣れてきた頃合いを見計らって今度はキスを深くしていく。
少しずつ、時間をかけてゆっくりと。
涼ちゃんがおかしいと気づいた時にはもう戻れなくなっているように…。
「んっ…」
今では頭を引き寄せて、涼ちゃんの息が軽く漏れるくらい優しく、ゆっくりとキスできるまでになっていた。
「…元貴はどうして俺にこんな事するの?」
涼ちゃんが不思議そうに聞いてくる。いくら天然な涼ちゃんでも、さすがになにかおかしいと気づきはじめたのだろう。
「涼ちゃんはどう思う?」
「えっ?」
「涼ちゃんは俺がなんでこんな事するんだと思う?」
逆に質問で返してやる。
「涼ちゃん、考えてみて。俺がどうしてこんな事するのか…」
戸惑って黙り込んでしまった涼ちゃんに、俺はニッコリとまたいつもの笑顔をみせる。
「ほら、若井が待ってるよ。はやく練習に行こう」
そう言って涼ちゃんの手を引いていつもの日常に引き戻した。
今日は涼ちゃんと一緒に初めて会ったピアノ教室にきていた。
「そうそう、そんな感じで好きに弾いてみて」
次はピアノと合わせた曲を作りたいと思って、涼ちゃんに適当にピアノを弾いてもらっていた。
涼ちゃんは楽しそうに鼻歌まじりに音を鳴らしている。
その時、遠くから男が近づいてくるのに気づいた。あの時涼ちゃんを連れ去っていった奴だ。
「ねぇ、涼ちゃん」
声をかけて振り返った涼ちゃんに顔を寄せてキスをする。 ゆっくりと、今までよりも 執拗に深く深く。
息が苦しくなってきた涼ちゃんが俺の服をギュッと掴んできた。
キスが終わった後も力の入らない涼ちゃんはくったりと俺の方にもたれかかり抱きしめる状態になる。
そこで俺は顔をあげ 涼ちゃんの背中越しにあの男の方に視線を向ける。あいつは青い顔をしてこちらを凝視していた。
俺がニヤリと笑ってやると、俺の事をすごい目で睨みつけた後、どこかに去っていった。
「もう、元貴。苦しいでしょ!…元貴?どうしたの?」
「ああ、なんでもないよ。涼ちゃんのおかげで次の曲のとっかかりが見えた気がする」
不思議そうに聞く涼ちゃんにそう答えて「ありがとう」といつもの笑顔を見せた。
お前なんかに絶対に涼ちゃんはやらない。
あの時の悔しかった気持ちを思い出しながら、俺は心の中でつぶやく。
あの時心に誓ったのだ。
絶対に涼ちゃんを俺のものにしてみせるって。
きっともう少し。たぶんもう少しで俺のものになる。…なって欲しい。
涼ちゃん。大好きだよ、涼ちゃん。お願いだから俺の事をしっかり考えてみて。
はやく俺の気持ちに気づいて…。
やっとひと段落つきました。
いや、実はロマンチを聴きながらこの最後の「はやく俺の気持ちに気づいて」のシーンが思い浮かんで、そのためだけに作った話です😅
次回からは視点が涼ちゃんに変わります。
涼ちゃんからはいったいどう見えていたのか、楽しみにしてください。
みなさん飽きてきてなければいいのですが…💦
コメント
4件
大森さんの作戦も、藤澤さんのキャラも、モブのモブ感もほぼ小説で、続き気になりますね🙌
ありがとうございます🤭 あんまりこんな固い長編?書いてる人 あんまり見かけないのでちょっとドキドキで書いてます😅
全然飽きないです! まじで良い( -`ω-)b 見てて癒される︎💕︎