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テラーノベル(Teller Novel)
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ー珠洲が1番ヒーローを恨んでたくせにー

ーお前だってまだヒーローへの殺意が完全に消えてるわけじゃないだろ?ー

ーやっぱり俺等の個性で人を救うなんてことできないんじゃねぇのか?ー

ー珠洲。お前はヴィランになるべきだー

第5話

寝れない。

誘拐事件以降、まともに寝ていない。

夜になるといつも兄の言葉が頭の中を回る。

小さい頃からずっと兄を信じてきた私は、今でも兄の言葉が全部正しいと思いかけてしまう時がある。

『崩壊…ねぇ…』

私は自分の手のひらを見つめながら呟いた。

“崩壊”という名の個性。

私の何が崩壊するのか怖くてたまらなかった。

その日は幸運なことにいつの間にか眠りについていた。

ーピピピッ ピピピッー

『…』

慣れたアラームの音。

私は顔を洗って頬を叩いた。

今日から個性強化訓練がスタートする。

相澤 「全員揃ってるかー?」

相澤先生がそう言いながら生徒のことを見渡して名簿を記入していた。

デク「今日から個性強化訓練スタートだね!

ドキドキしてきた…」

『そうだね!』

私は明るい声で返した。

デクはふと、何かを思い出したように私に尋ねた。

デク「…そういえば、珠洲さんの個性って何なの?」

『…!』

予想外の質問で私は少し黙ってしまった。

それからニヤリと笑って

『さあね!秘密〜、でもきっと大した個性じゃないよ。』

と誤魔化した。

私は一回もみんなの前で個性を使ったことがない。

仲のいいデクと勝己と焦凍にでさえも。

デク「いつになったら教えてくれるんだよ〜」

デクはそう笑っていたが、きっと私が自分の個性が嫌いというのを分かっているだろう。

『…デクは優しいね。』

するとデクは驚いた顔をしたあと、すぐ何かを見つめるように顔を上げて呟いた。

デク「そんなことないよ。」

私はデクを見た。

彼は強い。

そして、誰よりも気遣いがよく優しい。

いつかオールマイトを越すだろうな。

そんな事を考えながらぼーっとしていると、いつの間にか個性強化訓練が始まろうとしていた。

ーあれから1時間後ー

『みんなすごいなぁ』

みんな、それぞれの個性を強化するために考えられた訓練を行っていた。

私はそれをただ見ているだけ。

オールマイト「もう明かしちゃってもいいんじゃないのかい?その個性」

いつの間にかオールマイトが隣にいた。

私は苦笑いしていった。

『無理ですよ。こんな個性みんなに知られたくない。』

オールマイト「“こんな個性”ねぇ。」

オールマイト「私は個性を持っている人にずっと憧れを持っていたよ。」

オールマイトは空を見上げなら呟いた。

私は疑問に思った。

『…なぜ?オールマイトは素晴らしい個性を持っているじゃないですか。』

オールマイトはハハッと笑った。

オールマイト「まあ、そうなんだけどね。」

そして、私を見た。

オールマイト「個性に…

かっこいいも、

ダサいも、

キモいも、

怖いも、

存在しないんだよ。

個性は己の象徴。

この世界はもっと、互いの個性を尊重し合うべきなんだよ。

まだ時代が追いついてないだけなんだ。」

『…!』

尊重…己の象徴…。

オールマイト「どうだい?なにか気は変わったかな?」

オールマイトはさっきの静かさから一気に明るい雰囲気になった。

『…』

私は無言のまま一歩歩み出た。

そしてしゃがみ、地面に手をついた。

目を閉じた。

大丈夫。私ならいける。

暴走させない。

みんなが頑張ってやってるんだ。

私も頑張って威力を最小限に。

私は目を開いた。

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