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琥楽side
「…」
小3からの私には居場所がなかった
というより人と話すタイプじゃなかったから学校で少しずつ孤立していった
眼鏡をかけて、髪を下ろし、できる限り気配は消す。それが一番心地よかったから
両親が別の地方に行って叔母に預かってもらってたけど叔母からはやつあたりばかりされた
…そのせいで、私の体はあざと傷だらけ
それは今でもそう
「役立たずはサンドバッグになってるだけでいいのよ。仕事を与えてるんだからかんひゃしな」
「…ありがとうございます。」
いつまで経っても居場所なんてなかった
学校でいじめがなかったのは良かったのかもしれない。
歌を歌えば殴られ、踊れば蹴られる。
自分の好きなこともできない生活だった
放課後は誰にも話しかけられることもなく図書委員の仕事をする
そんな時に初めて知ったの
「ねーねー俺歌代さんのこと気になるんだけどさぁ?」
「あー分かる。マジで綺麗だよな」
「高嶺の花みたいな?だれも話しかけらんねぇよあれw」
あ、そう思われてたんだって
見られるのがあんまり好きじゃない…嫌いだから気配を消していたのに逆効果だった。
けど、その状況から抜け出せない
次の日からは意識してるから余計人の視線が分かる
その目はあんまりいいものと感じ取れなかった。
私は親が元トップアイドルなのもあって小さい頃からアイドルになりたかった。けど、そんな視線を気にしてたらなれないのは確実。というか向いてない。
しかもこのあざと傷の量。
…唯一の生きる理由を失った私は本当に何もすることがなかった。そんな中、一つの本と出会ったんだ。
【歌い手社長】
出版日は50年以上前。少し紙が古くなってるが、表紙はしっかり補強されてるからしっかりと見える。
ピンク髪でピアスバチバチの…おそらくこれを書いた人のイラスト。
2.5次元の初期の人だろうか
「…先生、」
図書室の先生に話しかけるとこっちを見て動きを止める
…あ、私学校で最低限のこと以外声出したことないんだっけ?
毎日図書室にいても仕事やるか本読むかだったから…
「ど、どうしたの?」
「…この本って、ありました?」
「あぁ…その本はあなたの一つ上の子が昨日寄付してくれたのよ」
「…」
私の定位置の椅子に座って本を読み始める
その本に書かれていたのは歌い手をやっている「ないこ」さんが「りうら」さん「-hotoke-」さん「初兎」さん「If」さん「悠佑」さんを勧誘して「Irregular Dice」というグループを作ったという内容。
…この人達は「グループ」で居場所を見つけてるんだ
なら…
中学校からは自分を包み隠さず怖がらずやりたいことをやった。
叔母のことを両親に言って祖父母の家に住むことになった
学校では歌って踊ってやりたいことをやった
生徒会長にもなれた
…でも、心を許せる人はいない
あの環境に慣れてたから
生徒会室で仕事をしている時のことだった
(ガチャ)
「琥楽先輩ッ!」
「どうしたの?」
「ーッ!!」
…五月雨恋恵という子がいじめられているらしい。女子なのに男子のフリをしていると
でも学校に提出されているのは「男子」の性。戸籍上ね。
だから色々と徹底して調べまくった
…彼女の家系についてもそこで知る
「っ!やっと…!」
朝、朝礼の始まる頃。彼女の祖父が亡くなった
これで、もう性別を隠す必要はない
部活の朝練の後使っていたタオルをクビに巻いたまま彼女の所へ向かう
「ッ…!」
あぁ、なんでもっと早く助けられなかったんだろう
高校生になって、とある事務所の練習生になった
…奇跡的にも、私を動かすキッカケとなったあの本の著者の事務所。あの頃とは違い今では普通のアイドルのプロデュースもしているらしく私にとってはとても好都合だった
…そこで私はあの本で読んだ子達の転生とでも言えるようなメンバーと出会った。
ふと思ったことだった
いつの間にか私には居場所があった
認めてくれる子もいた
頼ってくれる子もいた
冗談を言い合える子もいた
私に対して笑いかけてくれる子もいる
「…幸せだなぁ」
目の前の肩に顔を乗せてふとつぶやいた
読んでいただきありがとうございます!
前話で都さんをバックハグしてる状態でのスタートでごっちゃになったと思います。すみません💦
あと琥楽さんの回想でちょっとこの物語のファンタジーのような世界線が見えてきましたね。
それでは!また次回!