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黒百合の花
注意⚠️!
beast軸の中也首領パロです。。
(太宰が亡くなり少し時が経った世界線)
中也『 』
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その日は雨が降っていた。
湿気が体に纏わりつく嫌な天気だった。
もしかしたら、この天気もこれから起こる事の予兆だったのかもしれない。
「ねぇねぇ中也」
『 あ”?ンだよ』
「これあげる」
笑みを浮かべる太宰から手渡されたのは花束にされた黒百合だった。
『 手前が俺に物寄越すとか、、、何か企んでるだろ?』
「私そんな酷いことしたっけなぁ?」
『 はぁ?!忘れてんのかよ?!』
「まあまあ…」
『あっ手前誤魔化しやがったな?!』
「でもこの私からプレゼントを貰えるなんて光栄じゃないか?」
『ぁあ?!自惚れんなよ糞野郎?!』
『それに黒百合の花言葉って“呪い”じゃねぇかよ?!』
「もうそんなに怒らないでよ〜」
『御前絶対殺す!!!!』
だが俺は知らなかった。
俺が太宰を殺す日は訪れないこと。
そして 此れが彼奴との最後の会話になるなんて。
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ドアが開き、部下が入ってくる。
「中原首領。この案件についてなのですが」
『ん?ああ、そこに置いておけ』
「了解しました。失礼しました。」
あの糞太宰が死んで、俺はポートマフィア のトップになった。
『あぁー面倒な奴が居なくなって最高だぜ』
太宰の反論は返ってこない。
あの五月蝿い声が返ってくる事は、二度とない。もう、二度と。
『はは…本当に…最…高…だ……』
清々したはずだった。
なのに何だ、この苦しさは。
ポツ……ポツ…
窓硝子に雨が当たる
あの日も…こんな天気だった……
脳から消し去りたい記憶が、また蘇る。
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あの日も雨が降っていた。
小雨だったが、嫌に空気が重かった。
いや、重く感じたのかもしれない。
そしてポートマフィア本部が襲われたと分かり、急いで向かった。
だが、間に合わなかった。
『太宰!!!』
俺が到着した時には既に彼奴は息絶えていた
目の前の異常事態に 脳が凍りついたのを覚えている。
俺は心の何処かで、彼奴は絶対に死なないと思っていたからだ。
そんな訳無いのは解っていたはずなのに……
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俺はそんなに弱かったか?
お前に守って貰う存在だったのか?
お前と一緒に道を歩む事は許されなかったのか?
なぁ、太宰。
『相談ぐらい…してくれたって…ッ…』
『良いじゃねぇかよ…』
窓に当たる雨は段々と強くなっていった。
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「首領!大変です!!!」
急いだ様子の部下が転がり込んでくる
「違法物資の取引現場に別の組織が!」
「どうやら相当の手練れらしく、黒蜥蜴が壊滅させられました。」
黒蜥蜴…壊滅…?
『すぐ向かう。』
黒蜥蜴が壊滅したなら俺が行った所で意味は無い。だが、”汚濁“を使うなら話は別だ。
「ハッ…まさか汚濁を使うんですか!?」
「お辞めください!太宰さんが居ない今、解除が行えずに貴方まで亡くなってしまいますよ?!」
そんなの俺が一番分かっている。
嗚呼、最悪だ。彼奴が居ないと奥の手すら出せないなんて。
もし俺が幹部の頃だったら迷わず汚濁を使っただろう。だが俺は今、首領だ。
勝手に死ねない。
『はは…最悪の呪いだぜ…』
今頃太宰は喜んでいるのだろうか。
俺に“呪い”をかけ、苦しめさせているのだから。
すると突然部下の着信音が鳴る。
「ええ、はい、分かりました。」
そして安堵の顔でこちらを見た。
「紅葉様御一行が応援に駆けつけ、犯人を取り押さえられたようです。」
『…そうか。』
今回の件で悟った。
部下一つ守れない。
命を懸ける事すら許されない。
嗚呼、俺は弱いな。
だろう?太宰。
「 では私はこれで失礼します 」
『嗚呼。』
部下がいなくなる。
部屋の静かさに耐えきれなくなり、 徐に太宰の着ていた外套に触れる。
処分できずに何故かここに掛けてしまったこの外套。
触っているだけで彼奴を思い出す。
会いたい。
寂しい。
悲しい。
抑えていた気持ちが溢れそうになる。
『…?』
よく見ると衣嚢の中にボイスレコーダーが入っている。
カチッ
「ザ…ザザ…」
起動すると、雨音のような音が聞こえた。
「はは…あの高さから…落ち…ても…まだ…生き…てるとは…」
嘘だろ彼奴、此処の頂上から落ちたんだぞ。
だが太宰の事だ。生きていても不思議じゃない……慣れって怖いな…
「全く…自分が恐ろしい…よ……」
「それに…不思議な……事に…痛みを感じないんだ…」
「きっと死ぬ…直前で…感覚がおか…しくなっているの…だろう…」
『やめろ…それ以上喋るな…』
思わず言ってしまった。
「この…録音が…中也に届く事を祈るよ…」
『は…?俺に…?』
「私が首領に…なってからは…君に迷惑ばかり…かけたね…」
「それでも……私を気遣ってくれた事…とても嬉し…かったよ…」
「私の…手は…ずっと……血塗られていた…けど……」
「探偵社で…1人で…光の中を進むより…君と共に暗闇を進む方が…良かったよ…」
何の話かは分からなかったが、太宰にそう思ってもらえてたのは初耳だった。
「死ぬ事は…怖くはないよ……」
「だがやっと君という…生きる意味を…見つけたばかり…だから…少し…死ぬのが惜しいかな…」
『なら…生きて…ろよ……』
『俺を…置いていくなよ…』
だがこの言葉も、もう彼奴には届かない
「君が居た…それだけで…私は……どれだけ救われただろう…」
『ふざけんなよ……俺には…ッ…傷をつけておいて…ッ…』
「嗚呼……段々と意識が薄れてきたよ…」
『待てよ…』
「この組織を…守ってくれ…中也…」
『守ってやるよ…だから…死ぬなよ…』
『なぁ…頼むよ…』
「最後に…これだけ言わせてくれ… 」
厭だ、最後なんて聞きたくない。
置いていかないでくれ。
「今迄有難う。」
「相棒。」
録音はそこで途切れていた。
『う…ッ……ぐッ…』
『うあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!』
抑えていた気持ちが涙と共に堰を切って溢れ出した。
涙が止まらない。
解っていた。
彼奴は俺にも言えないような秘密を抱えていたことも。
1人で全てを背負って死んだ事も。
それでも
それでも
『会いてぇよ…ぉッッ…太宰ぃ…ッ…』
俺は涙が、声が枯れるまで泣き続けた
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翌日。昨日とは違い快晴。
樋口が部屋に入ってきた。
「中也さん、この件ですが、どうしますか」
『其れはーーーーをしておいてくれ』
「了解しました。」
「あれ…?中也さん、少し目腫れてます?」
『ん?そうか…?』
『厭でも目が腫れる事をした覚えは…』
『…………あっ……』
「…?」
樋口が不思議そうな目で此方を見つめる
『この目については触れないでくれ…』
「あっはい…」
「…」
そして次は変な顔をして固まっている
『云いたいことがあるなら云って良いぞ』
樋口は黒百合を見て云った
「いや…中也さんが花を飾るの、珍しいなと思いまして 」
『これは太宰から貰ったんだよ。』
『黒百合の花言葉って”呪い“だろ?彼奴死ぬ前まで俺を揶揄いやがった。』
「あれ、中也さん知らないんですか?」
『何がだ』
「黒百合の花言葉って、呪いの他にもう一つあるんですよ」
『そうなのか』
「もう一つは…」
「**“愛”**ですよ」
『…そう…か……』
「?!?何で泣いてるんですか中也さん!」
中也は泣き笑いをしていた。
それはとても悲しいようで、嬉しそうで、綺麗な顔だった。
なぁ、太宰。
これは御前が俺にかけた呪い《愛》だろう?
上等だよ。その呪い、俺が御前の分まで背負って生きてやる。
だから待っててくれ。
俺が御前の所へ行く、その日まで。。。
fin
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あとがき
初めての長編小説でした!!
beastは 読んでる最中に「これ朝霧さん敦君と芥川君の物語って発注だったんだよね??そこに太宰さんと織田作絡めるの天才すぎんか??って思ってました笑」(しかも50ページ程度って発注されてたのに原作者がオーバーさせて一冊の小説になったの神すぎる…)
今回の黒百合は、書かれてはいないけど中也君も太宰さんが死んでから凄い苦しかっただろうな…その後首領になったりしたのかなとか思って書いた物です。
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