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「ナナさんは今配信中なんだよね? コメントに答えたりしなくて良いの?」
「ソロの時はリスナーとお喋りしながらやりますけど、マルチの時はそっちに集中するってスタンスなので~此方の事はお構いなく~! ていうか、皆撮影許可ありがとね~!」
グレーさんと出っ歯さんの二人は、結構グイグイ喋っておられるけども。
そちらの話し相手はナナさんが担当してくれている為、私は意外と安全というか。
変にテンパったりせず、皆と一緒に行動出来ていた。
度々クロさんとお喋りしながら、ナナさんの装備を整えた後は……そのまま、クエストへ。
NPCの依頼で、武器取引の現場を襲撃するーみたいな内容。
序盤にしては結構難易度の高いものであり、サブキャラでやった時は結構苦戦した記憶があるのだが。
なんというか……凄い。
五人も居ると、始める前から安心感が桁違いだ。
しかもココには、賞金首の“seven”まで紛れ込んでいるのだから。
などと考えつつも、現地に到着してみると。
「おっ、シロちゃんはMP5Kなんだぁ~」
「あ、はい。こういうのにも慣れておこうと思っ……違った。メイン武器として使うなら、私は小さい方が扱いやすいなって」
「なははっ、シロちゃん小っちゃいもんねぇ~」
楽しそうに笑うナナさんが装備しているのは……なんとハンドガン。
いや、私はコレに対して何か言っちゃいけない立場なんだけどさ。
それこそ彼女の方が、今私が持っている様な武器も得意な気がするんですけど。
とはいえアレかな、早乙女さんから言われた“特分野で目立ち過ぎない様に”って注意を聞いているという事なのかな。
とかなんとか、一人で納得していたのだが。
何やら、銃口に追加装備を取り付けていく彼女。
「あ、それ……音が無くなるヤツでしたっけ?」
「ん~正確には小さくするヤツって言った方が正しいんだけど……シロちゃん、サプレッサー使った事無い?」
この質問に対して、ブンブンと首を縦に振って見せた。
パーツとか全然分からないから、見向きもしなかったんだけど。
でもナナさんが付けているヤツなら、映画でも見た事ある。
パシュッ! みたいな銃声になって、相手に気がつかれないヤツだ。
でも単純に銃が大きくなるから、使い辛そうだなぁって思って付けた事無いんだよね。
「あはは、何か期待した眼差しを向けて来てるけど、多分想像とは違うよー? まぁ実際見せた方が早いからね、戦闘中にでも音を聞いてみてよ」
なんて、少々気になる事を言っているナナさんに対して首を傾げてしまったが。
他の皆も、どうやら準備が整った御様子。
グレーさんが、結構大きめのマシンガン……あれ? こんなに大きいのはアサルト……えぇと?
「おぉ~グレーさん重装備だねぇ! 機関銃担ぐとか、マッチョ主人公みたいじゃん!」
「とにかくステータスを筋力パラメーターに振って、バラ撒くしか能がないけどね。俺、射撃マジで下手だからさ」
とかなんとか。
ほぉ、あれは機関銃なのか。
確かに大きいし、銃弾が繋がったベルトみたいなのがジャラジャラぶら下がっている。
とにかく、銃がでっかい。
あぁいうのって、地面とかに設置して使う物じゃないの?
そして出っ歯さんに関しては……なんと、二丁拳銃。
ド派手な大きなハンドガンを両手に装備、それぞれ赤と青のカラーリングという。
凄い、あんなのもあるのか。
「ナナさんは、俺の同類と見た……“シックス”の影響かな?」
「大当たり! 私もあんな風にハンドガンで格好良く戦いたい~って思って。とはいえ、出っ歯さんとはタイプが違うかもしれないけどねぇ?」
「ククッ、それもまた……面白い」
未だに彼のテンションには慣れないが、何か会話の内容に恥ずかしくなってしまい視線を逸らした。
シックスの影響って事は……私なのか。
いやまぁ、目立つのは仕事の内だし、これが影響してユーザーが色んな武器を求めるのは良い事。
なのだが……無駄に、恥ずかしくなる。
もはやPVにさえ登場する様になった“6key”。
だからこそ、見ないで下さいとは言えないのだが……恥ずかしい。
などとやっていれば、クロさんがいつもとは違う武装を準備しているではないか。
「あ、あれ? クロさん、今日は普段より大きいヤツですね……?」
「うん、今まではシロさんのサポートに入ってたけど、今日は人が多いからね。“得意分野”でやらせてもらおうかと思って」
そんな事を言って、ニコッと微笑んでいらっしゃいますが。
手にしているのは、やけに……長い銃。
でっかいスコープとか付いているし、もしかしてこれは。
「私の勘違いじゃなければ……狙撃銃、ってヤツですか?」
「そう、元々の戦闘スタイルはこっちなんだよね。だから今日は、遠くから援護するね。もしもシロさんがやり辛かったりしたら、いつもの装備に戻すから遠慮なく言ってね?」
今まですみませんでしたぁぁぁ!
ヨワヨワの私に付き合って、ずっと近くで戦ってくれていたらしい。
もはやブンブンと音が鳴る程何度も頭を下げてみれば、「落ち着いて落ち着いて」と止められてしまったけど。
「前にも言った通り、俺はシロさんがガンサバを楽しめれば十分嬉しいから。もしもコイツ等が鬱陶し過ぎて、俺も近くに居た方が良いって状況になったら、そっちも遠慮せず言っていいからね? 別にアサルトが嫌いとか、苦手って事は全然無いから。俺はどっちでも楽しいよ?」
「なんか、すみません……何から何までお世話になりっぱなしで……」
「気にしない気にしない。こうして仲間も増えたんだから、いつもと違った雰囲気をシロさんも楽しみなよ」
クロさん、本当に先輩プレイヤーのお手本の様な人だぁ……。
もはや感謝しかない状態で、行動開始の前から涙目になっていれば。
「ちょっと男子~、シロちゃん泣かせないでよー」
「センセー! クロが女子泣かしてまーす! コイツが犯人でーす!」
「懺悔しろクロ! 貴様の死を持ってシロさんの涙を止めてくれよう!」
周りの人達が悪乗りし始め、出っ歯さんなどはクロさんに向かって二丁拳銃を押し付け始めている。
これに対して、私は余計に慌ててしまう状態になってしまったが。
「うるっさい! いいからお前等も準備しろよ! いつもみたいにおふざけ禁止だからな!? 今日くらいは女の子二人に良い所見せて来いよ!?」
クロさんに関しても、楽しそうに笑いながら相手をしているので、問題は無さそう。
凄い、マルチプレイ凄い。
今日会ったばかりなのに、皆既に仲良さそうにしてる。
これは私も……出来れば、格好良い所を見せて仲間に入れてもらわないと。
という事でグッと握りこぶしを作り、やる気を漲らせるのであった。
◆
これだけ人数が居るのだ、さぞ的確で綺麗な戦闘になるのだろう。
そう、想像したのだが。
「ん~~~とうっ! 俺、参上! さぁこの二属性拳銃の威力を――」
敵のど真ん中に出っ歯さんが飛び降り、格好良く銃を構えたまでは良かったのだが。
数秒後、蜂の巣になった。
「参上! じゃねぇのよ! お前のは“惨状”なのよ! とっととリスポーンして来い馬鹿!」
グレーさんがとにかく弾丸をバラ撒き、一人で大勢を牽制している。
その間に物陰からナナさんが走り込み。
「たっのしぃぃぃ! こういうお馬鹿プレイも、ネトゲのお楽しみ要素っしょ~!」
的確に一人ずつ銃撃、そして近付いてからナイフキル。
普段の“seven”の時とは違う、ごく普通の動きながらもとても綺麗。
やっぱ上手いなぁ……とか思ってしまうのだが、おかしい。
消音する為の装備を付けてるのに、普通にバンバンって発砲音がする。
ナナさんも、見れば分かるみたいな事を言っていたし……もしかして、こういう物なんだろうか?
映画みたいに、パシュッて言わないの?
確かに普通の音とは違う気がするけど、あれでは街中とかで隠れて撃ってもバレてしまう気がする。
サプレッサー? サイレンサー? って、映画みたいに音小さくならない?
などと、ポカンとしていると。
「うひゃぁぁっ!?」
グレーさんの威嚇射撃を逃れて来た敵の一人が、急に私の前に飛び出して来た。
6keyの場合は、お兄ちゃんが予めこういうのを警告してくれるけど。
今はサブキャラ、その為全部自分で見るしかない。
なので急に目の前に出て来ると、普通に悲鳴を上げてしまうのだが。
とにかく慌てて引き金を引いてみれば、バララッと音を立てながら敵に弾はヒットしたけど……駄目だコレ。
相手の中心というか、大ダメージが入るところに全く当たってない。
そんな訳で、痛みを耐える様な表情を浮かべているNPCが此方に向かって銃口を向けて来たが……。
ドンッ! と、遠くで銃声が聞こえて来た。
そのすぐ後、私は何もしてないのに目の前の敵が急に倒れた。
え、え? と混乱していると。
『シロさん、落ち着いて。こっちでもサポートするから、いつも通りに』
無線から、クロさんの声が聞えて来る。
なるほど、狙撃か。
凄い、遠くに居るのに当てられるんだ。
というのと……なんか、前にもこんな経験をした気がする。
どうにか体勢を立て直して銃を構えてから前進してみれば、やっぱりココだってところで正確遠距離からの射撃サポートが入る。
「……ぇ、えぇと。もしかして……9K……?」
思わずポツリと言葉を洩らした瞬間に。
「クハハハハッ! 俺、復活! ガンスリンガーとは、俺の事だぁぁぁ!」
戦場に大声が響き渡ると同時に、出っ歯さんが再び敵のど真ん中に飛び降りて……また、蜂の巣になった。
『「お前はさぁぁぁぁ!?」』
「ぶははははっ! ウケる! 瞬殺じゃん! あ、でも死に際にちゃんと二人キルしてる! 凄い凄い! 出っ歯さんオモロ!」
何だか、人が集まった時のガンサバって……凄く賑やかで、普段と違った雰囲気で面白いかも。