テラーノベル
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あの子と料理した思い出のキッチン。食材を切る包丁から僅かに漂ってくる鉄の匂いに、キッチンに響く一定のリズム。水道から滴る水滴が沈黙の調味料になり、沈黙に味を加える。
油の弾ける音、包丁が奏でる一定のリズム、全てがあの子との思い出の食材。
「今日はどれを食べよう」
そう呟きながら冷蔵庫を開ける。中身が入っているたくさんのタッパー、その蓋の隙間から垂れているあの子の一部。いつ開けても変わらない。
そんな事を考えながらあの子の「心臓」が入ったタッパーを手に取る。ああ、あの子は凄いなあ。冷蔵庫に入れたのにまだ生きようとして動いてるんだ。そういう必死なところ、私に使って欲しかったな。
「……あなたが悪いんだからね、全部」
呟いた声はあの子には届かない。今日もあの子は私の一部になる
「いただきます」
題名:「あの子は今頃私の一部」
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