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第二章

_____……….___…………

アラームの音が鳴る。今日は確か夏期講習が無かったから、いつもより気持ちよく朝を迎えれた気がする。

俺は傍に置いてあるスマホを手に取った。はは、相変わらず、誰からもメッセージなんか来ないんだよなあ。

今日は特にやることもないし、只管好きなアニメでも見るとしよう。

まあ、こんな毎日も、つまらなくはないかな。かといって、面白くもないけど。満足してないわけではない。けど、俺にも友達が出来たら……人気者になれたら……少しは楽しくなるのかな?とは、偶に思う。

まあ、幾らそんなに妄想しても叶うわけないし。なるべく時間を有限に使いたいところだ。

とりあえず、見ようとしていたアニメを見ることにした。アニメの内容は、<自分を見失った男を女が助け、2人がロマンチックな恋をする>……。なんとも言えないアニメを見ることにした。


「まって!私には__が必要なの!」

「やめてくれ!君は関係ないじゃないか」

「私は、君の助けをしたいの!!」

「__……!」


ブチ……。

部屋にはリモコンの音だけが鳴る。

こんな売れない芸人よりもつまらないアニメは久しぶりに見たよ

「よくこんなんでアニメ出せたな……。」思わず思っていた言葉が漏れる。

部屋には俺の声があった筈なのに、あたかも何も発していないかのように、一瞬で俺の声は消された。

……………俺もこうやって、一瞬で消えるんだろうな

まあいいけど、と、自分を正当化していたが、……実は、と思う。

…………………………………………………………………。

実は、……………………………。


はは、

はははは

はははははははははははははははははははははははははははははははははははははは……。

その次なんて、わかるわけねえよ。

ばかめ。ばーーか。

はは、ほんと俺ってばーか。


その翌日、夏期講習があった筈だが、俺は何故か身体が重く行く気になれず、夏期講習を休んで只管ベッドに横たわっていた。

親には泣く泣くお願いをして、ようやく休むことが出来たが、親には呆れられ、クラスメイトには見捨てられ……。俺は本当に不幸だ。絶望的だよ

気がつくともう3時だった。おかしいな、7時に起きた筈なのに

気づいたら寝てしまったようだ

ほんと、みっともない、と、自分を責めていたら…。

ピンポーン……。

と、チャイムの音が鳴る。

「……おかあさーん、鳴ったよ。」

………………………

「お母さんってば……。」

はあ、これ、親寝てるか買い物行ってるパターンじゃね?

がち最悪なんだけど

そう思いながら、俺は玄関へ向かう。

ガチャ

ドアを開けると、そこには………。

「美佐穂くん、元気かな?」

華奢な姿。可憐な瞳。風で綺麗に靡く髪……。

そう、その人は、クラスの人気者、佐藤光夏だったのだ。

……なんで佐藤さんが、

「う、うん。元気だよ。それより佐藤さん、どうしたの」

「そう?なら良かった!ほら、今日って夏期講習だったじゃん?それで、美佐穂くんだけが休みだったから、今日やった課題、届けようってなって」

「……え、それで態々?」

正直、意外だった。

だって、40人を超えるクラスメイトからたった1人休んだだけなのに

中でも、最も影の薄い俺が休んだだけなのに

それでも気づいてくれて、尚且つ課題を届けてくれたのだ。

「もう、当たり前じゃんか!!私、美佐穂くんが病気にでもなっちゃったんじゃないかって心配したんだよ? 」

「あ、えっと、ごめん?」

「あはは!謝る程じゃないって。冗談。」

あ、俺、言葉の選択ミスした。

そこはノリにのるところだろ俺

何マジレスしてんだよ……。

自分に呆れていると、佐藤さんが喋った。

そう、この時の俺はまだ見当もつかないであろう言葉を。

「ねえ、美佐穂くん」

「LINE交換しようよ!!」

「……は?」

「ああごめん、インスタでも大丈夫!とりあえず、何か連絡できるものが欲しいなって」

「いや、LINEでもいいんだけど…さ?」

「そうだ!クラスLINE入ってなかったよね?美佐穂くん招待する!ほら、繋ご? 」

う、なかなかあざとい…。これが俺たち男を惚れされる技術か

それから色々あり、LINE交換までクリアし、その後クラスLINEに招待して貰った。

いや、改めて思うと、クラスLINEって凄いな

人生ではじめてクラスLINEというものに入ったから少し感動してしまった。

まあ、周りの人からすると当たり前なんだろうけど。

佐藤さんと別れを告げたあと、クラスLINEで発言してみることにした。

「……まずは挨拶、だよな」

───────────────────

<2-B クラスLINE(40)   ⏱ ☏ ─

          玄がグループに参加しました。

            既読38 こんにちは。美佐穂玄です

───────────────────

えまってうけるんだけど。既読無視??

まあこうなるとは思ってたけどさ

絶対みんな「こいつだれ?」状態だよな

そう思ってると、既読が39になって……。

───────────────────

<2-B クラスLINE(40) ⏱ ☏ ─

          玄がグループに参加しました。

            既読39 こんにちは。美佐穂玄です

やっほ!佐藤光夏です。よろしくね🎶

光夏知り合いなの?

光夏ちゃん!この人誰?転校生?!

佐藤知り合いなんだ

───────────────────

これは決していじめなんかではない。普通に存在を忘れられている。

それにしても、俺は既読無視されたのに、佐藤さんは一気に返事が返ってくるな……。

通知が鳴り止まない。

流石クラスの人気者だな


とりあえず、クラスLINEに入って参加することはできた。

あれから、何とか俺の存在も覚えてくれそうな雰囲気になったし……。

また明日から頑張ろう。

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