第7話【!?!?】
「俺には連絡先交換してくれないの?」
『!?!?』
急に可愛い顔で覗かれてその発言をされて、私は床に倒れ落ちた。
「大丈夫そ?」
『な、なんとか…、』
「俺には?」
『つ、…繋ぎたいの…?』
「繋ぎたい」
『…わ、わかった、いいよ』
キヨは、私の視点に合わせるようにしゃがみ込み、スマホ画面を見せつけた。
名前は、『キヨ。』
そのままだ。
『追加、したよ』
「ん、ありがと」
キヨは、私のことをまた、優しい目で見つめてきた。
そんな事をされたら、勘違いをしてしまう。自分の自意識過剰を抑えて、立ち上がり、帰る準備をした。
「じゃ、気をつけてね。」
『ありがとう!じゃ、またね』
「ん!」
私がキヨの家を出て、見えなくなるまでキヨは私に手を振ってこちらを見ていた。どこまでお人好しなのだろう。
本当に、勘違いをしてしまう…。
ーここからキヨ視点ですー
1人で帰して大丈夫だっただろうか。やっぱり、家まで送ったり、家に泊めてあげた方が良かったのではないのか、、?
でも、そんなことしたら俺の俺が耐えられない…
ちゃんと帰れたか連絡するか…
俺は、LINEを開いて、『ゆい』と表記されている可愛らしいアイコンのチャットを開き、
〈ちゃんと家に帰れた?〉
〈また話そうな〉
二通の軽めな連絡をした。そして、ヒロイのLINEをピン留めにして、1番上にして何時でも早く見れるようにした。
ゆい…か。可愛い名前だなぁ。
広塚、ゆい…広塚ゆい。… ゆい。
…へへ。本名全部知っちゃった。
電源を切ったスマホの画面には、俺のニヤニヤした顔が写っていた。
ヒロイからの返信まだかな、と思っていたこの30分間。もう一度連絡しようと思いチャット画面を開いた途端、ヒロイから連絡が返ってきた。
〈無事帰れたよ!私オーラあるから人みんな近づかないんだよ😉〉
〈え、既読はや〉
…。…即既読をつけてしまった。
どうしよう、なんて返そう。
〈開きっぱなしで放置してたわ!笑帰れてよかった!じゃ、また明日!おやすみ〉
〈はーい!おやすみ!🌙〉
お互いにスタンプを送ったりして、会話を済ませた。ヒロイとの会話は、もう終わってしまった。
心に孤独感を覚えたまま、俺はいつもの作業に取り掛かった。今回の編集は、いいものにしよう。
『よし…っと。』
約4時間ぐらいだろうか。
長いこと椅子に座り、尻が痛む。休憩も入らずに、ヒロイとの動画の編集を済まそうと必死こいて編集していたら、いつの間にか時間が長いこと経っていた。
1時…。まだいけるな。
スマホを開いて、TOP4のグループLINEを開く。最近話せてなかったので、このLINEすらも見るのが久しぶりになる。
〈よぉお前ら久しぶりだな!〉
俺が1週間ぶりの第一声を送ってすぐ、既読1、と、ついた。多分うっしーだろう。
最近作業が多くて実況する暇がないとかなんとか言ってたから、こういう遅い時間まで起きているんだろう。
〈キヨ、久しぶり。今度遊び行こうよ〉
急に遊びを誘われてしまった。中学生か!
〈いいよーん。じゃまたあしたな!〉
〈え、明日?〉
うっしーの1件のLINEをフルシカトして、俺はベッドに潜り込み深い眠りについた。
…うるさい。こちとら夜遅くに寝たのに朝9時に起こすやつがおるかい!
さっきからインターホンが俺に起きろとでも言うように小刻みに鳴っている。…迷惑な宅配だな。
昨日も同じようなことあった気がする…
〈キヨ〜きたよー〉
『あれ、…うっしーじゃん…どした?』
〈アンタが呼んだんだろ(笑)〉
『え…?あー……。そうだった(笑)上がってって〜』
半分忘れてた、とは言えないな。俺は玄関に寝起きで前が直視できない状態で向かった。ドアを開けようとした瞬間にうっしーがドアを思い切り開けてきて、 さすがに寝起きの俺は反射神経が良くないので頭からぶつかってしまった。
そりゃそうだ。
『いってぇ……』
「ごめんごめん(笑)もしかして寝起き?」
『おぅ』
「あぁ、それはほんとにごめん。カフェでも行く?」
『おぅ』
「おっけー。じゃあ行くよ。ほら立って」
俺はされるがままにうっしーに腕を引っ張られ、俺の家の近くの洒落てるカフェに連れていかれた。
『ここ…さすがに洒落すぎない?』
「ボクここ好きなんだよ。」
うっしーに連れてこられたカフェは、まるで森の中にある小さな小屋みたいなところだった。だが、内装は観葉植物が綺麗に飾られており、手入れもされていて、鳥のおもちゃ…というか、飾りが囀っている。そして、椅子には寝そうになるクッションがそれぞれカラフルに置かれていた。ほんとうに森の中にいるみたいな気分になるところで、少し気分が良くなる。
うっしーはこういうのが好きなのか?
「何飲むー?」
『まずは朝飯だろ』
「なら…オムライス2つくださーい!」
店員「ご注文ありがとうございます!オムライス2つー!」
まるで居酒屋みたいなテンションで注文を受け付けられた。本当にカフェか?ここ。
「で…ちょっと話したいことがあってさ」
『どーしたん』
「ボク、好きな子できたかも」
『え?まじで?』
うっしーから、その言葉が聞けるなんて。
コメント
3件
え、ヒロイじゃないよね…?
うっしーの好きな人は……なんだ?