テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#御曹司
鷹槻れん

1,132
鷹槻れん

35,437
#極道
鷹槻れん

18,108
鷹槻れん

20,076
「あ、あのっ……両親に聞いてからお返事をさせていただいても……大丈夫でしょうか?」
苦しさを先送りにする様にそうおうかがいしたら、「ご両親にはもう了承を取っていますよ」と言われてしまった。
さ、さすが修太郎さんですっ。抜かりがなさ過ぎますっ。
「わ、分かりました。それで……あのっ……週末って……」
「金曜日の夜から日曜日の夕方までですね」
さらりと二泊三日を言い渡されてしまいました!
***
金曜日の就業後。
私は修太郎さんに、恐る恐る一旦帰宅してお泊りの支度をしてきたいのですが……とおうかがいを立ててみました。
もしダメです、と言われてしまったらどうしよう、と思ったのですが、「もちろん、それで構いませんよ。そうですね。十九時頃にお宅へお迎えに上がるのでいかがでしょう?」と案外あっさり受け入れていただけました。
二泊三日ともなると、夏とはいえお洋服だけでも結構かさばりますし、一応私も女の子の端くれですから、それなりにお化粧の道具やお肌や髪のケア用品なども必要です。
荷物はなるべく軽量化をはかりたいですが、事前に色々試行錯誤しながら準備してみた結果、大きなバッグにギュウギュウ詰めになる程度には物が増えてしまいました。
えっと……。
例えば……自宅でお風呂を済ませてルームウェアに着替えて行ったら少しは荷物、減るのでは?
ふとそんなことを考え付いた私ですが、さすがにお部屋着で修太郎さんのお迎えを受けるわけにはいかない、と思い至りました。
もしかしたら途中でどこかに寄ってお食事を、とか考えていらっしゃるかもしれませんし。
(うー。どうしましょう!)
荷物を出したり入れたりを繰り返した挙句、私は「あ、お風呂!」と思って、とりあえず今日の入浴だけは自宅で済ませておこうと思い至りました。
だって……。修太郎さんのお宅のお風呂をお借りするとか、なんだか恥ずかしいと思ってしまったのですっ。
「お母様、もうお風呂入れますか?」
台所に立つお母様にそう問いかけると、一瞬「?」というお顔をなさったあと、「日織、あなた、お風呂に入ってから修太郎さんのところへ行くの? もう少し肩の力を抜いてもいいんじゃない?」と聞かれてしまいました。
私はお母様の言葉に一瞬きょとんとして、深く考えもせず、「修太郎さんのお家でお風呂をお借りするのは恥ずかしいので」とお答えしたのですが……後からこの決断で少し恥ずかしい思いをすることになるなんて、この時は思いもしませんでした。
お母様は私の答えに束の間考えていらしてから「そうね、今日は特別な日ですものね」とおっしゃって、少し寂しそうなお顔をなさいました。
「お母様……?」
その表情が気になって、思わず呼びかけたら、さっきのは見間違えかな?と思うような笑顔が返ってきました。
「お湯ならもう溜めてあるし、お父様もお入りになられた後だから問題ないわ。――入る?」
優しく微笑まれたお母様に聞かれて、「はい、十九時に修太郎さんがお迎えにいらっしゃるので、ササッと入ってきますね」と答えて、私はそそくさと入浴の準備を済ませました。
お風呂から上がると、お母様が「湯冷めしないようにしっかり髪を乾かしてね?」とおっしゃった。
私はお母様の言いつけを守って念入りに髪を乾かしました。
髪を乾かし終えて、自室に戻って部屋の掛け時計を見ると、十八時四十分。そろそろ修太郎さんがいらしてしまいますっ。
コメント
2件
抱かれる準備万端な雰囲気に(笑)
ふふ、日織さんの「お風呂は自宅で済ませたい!」という乙女心、すごく可愛かったです😊 母娘の何気ない会話にも温かみがあって、でも「特別な日ですものね」の母様の寂しげな表情がじんわり来ました…。修太郎さんの抜かりなさにも笑ってしまうけど、二泊三日の準備にあたふたする感じ、読んでいてとても甘やかな気持ちになりました。続きも楽しみです!