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実炭
攻め 実弥
受け 炭治郎
「おい、竈門炭治郎」
「?はい、どうしましたか?」
ちょっとこい、とこちらに手招きをする実弥さん。
傍に行くと、さらり、と頭を撫でられた。
「?どうしたんです?」
「いや、弟達を思い出してな」
そう言って、薄く笑う。
「…、ふ、いっぱい撫でてください」
「…おう」
ありがとな、炭治郎、と、2人の時にしか呼ばれない名前で呼ばれる。
不安そうな、恐怖のような、悲しいような匂いがして、あぁ、実弥さんは今弟さん 達を思い出して悲しんでいるんだ、と、思った。
「実弥さん、悲しいんですか?」
「あ?…テメェの鼻はよくきくんだったな」
参った、というような顔をする。
「悲しい時も、どんな時も、俺に会いにきてください。俺は、ずっと傍にいますから」
「…おー」
ぎゅ、と抱きつくと、お萩の香りが漂ってきて、安心する。実弥さんは、俺の匂いで、安心するのかな。
「炭治郎」
「はい?」
「…俺の事、置いて、いくんじゃねぇぞ」
もちろんです、俺が実弥さんの事、置いていくわけ、ないじゃないですか。そう、言いたいのに、口が、動かない。
「…分かり、ました」
「…それでいい」
2人で月を見上げる。あと何回、2人で月をみれんだろうな、と、静かな問いかけには、答えない。
「実弥さん、」
「あ?」
こちらを見る顔が、妙に切なくて、哀しそうで、辛そうで。一生一緒にいて、なんて、言えなくて。いつの日か、俺達はバラバラになってしまうのだろう、という確信すら、この顔に飲み込まれていって。
「好きです」
そう、言うしか、なくて。
「…俺もだ」
2人、月の下で口吸いを交わす。
不安を、隠すように。
「さね、み、さん、ッ」
「…ッ、炭治郎…ッ」
「、あ、あ…ッ♡」
卑猥な音が、部屋に反芻〈はんすう〉する。
何回も何回も口吸いを交わして、求めあって。
「あ、ぁんッ!あ、あ゛ッ!?♡」
「は…ッ、炭治郎、炭治郎ッ」
気持ちいい、そんな言葉しか、頭には浮かんでこない。理性がとろとろに溶かされて、快楽しか拾わなくて。名前だけを、そこにいるか確認するように、沢山呼ぶ。
「あ、ぁんッ、♡しゃねみ、しゃんッ♡」
「ぁ?ッ、!」
「あ、しゅ、き、好きれす、♡ッあ!」
達したい、今すぐに。
なのに、ギリギリで止められて、もどかしい。
「あ、♡いきたい、よぉ!♡」
「は…ッ、もう、少し、な…ッ」
「やぁ!♡」
パチュパチュ、と、音がダイレクトに聞こえてきて、耳も犯されている気分で。
「は…ッ、い、くぅ…♡」
「…ッ、イけ、(耳元)」
「ぁ~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
プシャッ、プシッ
「ッ、出す…ッ」
ビュ、ビュクビュクッ
「あぁ、あ、!ぁ~~~~~!♡」
「ッ、は―、は、」
ガクガクと震える身体。しなる背中。
気持ちよすぎて、意識がとぶ。
「ッ、炭治郎、好きだ…愛してる」
「ぁ…ぁ、♡」
まどろむ意識の中、実弥さんの愛を囁〈ささや〉く声が、耳を支配していった。
「実弥さん!」
「あ?…んだよ、」
実弥さんは次の日には元に戻る。何も感じていなかったかのように、昨日の消えそうな雰囲気は何処かに消えていく。びっくりするほど。
「今度、お萩持っていきますね!」
「…おー、分かった」
嬉しそうな匂いがする。良かった、昔は殴られていたからなぁ。
2人で、太陽の下を歩く。2人の背中には、昨日の不安な雰囲気はない。あるのは、幸せな空気だけだ。