『明那。』
「叶さん、俺」
『大丈夫だよ。出席してた皆さんが優しくしてくれて…』
見覚えのないブランケットがかかってる。
『隣の方が貸してくれたんだ、明日返せば良いって』
「通夜は、、」
『もう終わっちゃったけど、明日も行くからさ。』
あー、そっか。
倒れたんだ、俺。
『明日……、きっと今日より辛いと思う。』
ふわっちと、本当に最後のお別れだ。
本当に、終わり。
また生温い涙が一筋、頬を伝う。
『ごめん、明那。』
叶さんの匂いの優しいハンカチで頬を拭われる。
『無理はしなくて良いからね、明那。』
「叶さん…俺行くよ、見に……いくよ、。」
ふわっちの、最後の最期。
「だって、…だってそれが、、、!」
涙で叶さんの顔も見えない。
「それがふわっちに会える最後の日ならっ……!」
『明那……。』
ようやく理解した。
ふわっちがいないこと。
もうあの幸せは2度とやってこないこと。
ふわっちの声も、体も、心も、全て
明日天国の炎に溶けてしまうこと。
そうするしかないこと。
悲しいのはここにいた全員同じだってこと。
でも何とか生きていかなきゃいけないってこと。
違う。生きてやるんだ。
どこかでふわっちは絶対見てるから。
見ててよ、ふわっち。
ぼろぼろ溢れる涙を拭って視線を落とす。
ブランケットのタグに書かれたのは
ここの会場の名前だった。
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