ア・プリオリ

テレビ撮影裏側。知識皆無なので適当です。

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今日はテレビ撮影の日。生放送なので他の色々な歌手やバンドの人たちと直接交流できるとても貴重な環境で何度出演してもやっぱりワクワクする。

しかも今日は昔からファンで憧れていたM.STEPも出演するので俺は朝からドキドキしっぱなしだった。

「涼ちゃんテンション高すぎ」

「いいでしょ！ああ、楽しみ〜」

そんな俺を元貴と若井の２人は呆れたようにからかいながらもやっぱりソワソワしている。結局は２人もファンなのだ。

無事に撮影も終わり、３人で盛り上がっていると後ろから声がかけられた。M.STEPのギタリストのアツシさんだった。

「うわ！俺ずっとファンだったんです」

俺のテンションは爆上がりする。近くで見るアツシさんはファンフィルターもあるのかもしれないけどめちゃくちゃかっこよかった。

軽く俺と話した後、元貴や若井とも挨拶をして笑顔で去っていく様に俺たちはやっぱりかっこいい！と盛り上がりまくってしまった。

他の気の合う出演者の人たちとも喋ったり色々スマホで撮影したりとワイワイ騒いだ後、着替えも済んでとりあえずトイレにでも行っておこうと廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。

「藤澤くんじゃないか」

振り返るとアツシさんがいた。

「あっ、今日はありがとうございました」

「いやいや、こちらこそありがとうだよ」

そう言って笑うアツシさんの揺るぎない自信に裏付けられた対応にやっぱり憧れの視線で見てしまう。

「そうだ。俺、藤澤くんともっと話してみたいと思ってたんだ。よかったら控室に遊びにこない？」

「えっ？いいんですか？」

戸惑う俺にぜひと控室に案内してくれる。

「他のメンバーの人はどうしたんですか？」

中には俺たちだけで他の人は誰もいなかった。

「ああ、みんな仲のいい人と用事があるってすぐに帰っちゃって俺１人で暇だったんだよね」

そう言うアツシさんと２人きりで色々話しをして盛り上がりLINE交換までしてしまった。

嬉しくて顔が緩みっぱなしの俺をアツシさんが無言でじっと見つめてくる。

不思議に思って見上げると、スッとアツシさんの手が腰に回され抱き寄せられそのまま唇が塞がれる。

俺は突然の事に目を見開いて固まってしまうがアツシさんは慣れたように口づけを深くする。

うっ、上手い。

アツシさんの口づけは性急なものではなく、ただゆっくりと甘く甘く俺を絡め取ってくる。あまりの気持ちよさに無意識にうっとりと自分からも甘い息が漏れ出るのがわかった。

唇が離れた後も頭がボーっとしてしまう。

そんな俺の様子を見てクスリと笑ったアツシさんは耳元で囁く。

「藤澤くんって男が好きだよね？」

その言葉にハッと正気に戻った俺は一気に顔が熱くなる。

どうしよう…。頭がパニックになっていると控室の外から声がかかる。

「涼ちゃん！」

「あっ、元貴…」

「もうそろそろ帰るから準備しないとダメだよ」

バッと慌ててアツシさんから離れ振り返ると、なんでもないように外から呼びかけてくる。

気づいてない？どうだろ？

「お迎えがきちゃったね。それじゃあ藤澤くん、また今度ゆっくり話ししようね」

「あっ、はい…。しっ失礼します」

オロオロと挙動不審になっている自分が恥ずかしくて大急ぎで控室を飛び出す。

そうすると廊下に元貴が１人で立っていた。

「元貴…。あの、忙しいのに手間かけさせちゃってごめんね」

「…大丈夫だよ」

なんだかそっけない態度。やっぱり見られてたのかもしれない。

でもそんな事怖くて聞けなくてぎこちない会話をしながら自分たちの控室に戻ると、いつもの雰囲気に戻って元貴の笑い声が聞こえてきて、とりあえずホッとする。

それにしてもあれはいったい何だったんだろう？

いつ気づかれたかはわからないがアツシさんには俺がゲイなのはバレてしまっているらしい。

でもそれでキスしてくるなんてアツシさんもそうなのかな？

まぁどっちにしろおもしろがってからかっただけだろう。もう顔を合わせる機会なんてないだろうしね。

それにしてもさすが年の功っていうかキスうまかったよなぁ。きっとゲイだとしてもすっごいモテてきたんだろうなぁ。無意識に指で唇を触ってしまう。あれだけでクラクラしかけた事を思い出してちょっと顔が熱くなった。

そんな俺の様子をこっそり元貴がうかがっている事など、その時の俺は全く気づいていなかった。

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オリジナルキャラのアツシさん。もっくんのライバルになります。名前とかバンド名とか適当につけたので実際に同じ人がいるよ！となってもこれはわたしの妄想世界です。

次回からもっくん視点に移ります。今までの出来事はもっくんからみたらどうだったのでしょうか？答え合わせですね😅