君を好きになった。それが復讐だった。
クラスの男子とも女子とも分け隔てなく仲良くできるあんは、放課後になるとこっそりスマホで“もう一つの顔”を生きていた。
テラーノベルに自作の恋愛小説を投稿し、そこでしか書けない甘く危ない妄想を綴る日々。
その存在は誰にも知られないはずだった——親友のことに見つかるまでは。
軽い気持ちだったのか、悪意だったのか。
ことは男子たちにあんのアカウントと内容を暴露し、教室は嘲笑と好奇の視線で満ちた。
居場所を失ったあんの胸に燃え上がったのは、悔しさと怒り。
復讐の方法はただ一つ——ことが想いを寄せる男子・◯◯に近づき、彼を本気で自分に惹かせること。
そして、彼と手をつないだ瞬間、あんは静かに心の中で呟く。
——「君を好きになった。それが復讐だった。」