「ふぅ…やっぱり実家のお風呂の安心感は違うなあ……。…あれ、ドライヤー何処だっけ。」
濡れた髪をタオルで乾かしながら洗面台に向かう。久しぶりに来た実家の物の配置は変わっており、前に置いていた場所には無かった。仕方なくお母さんを呼ぼうと口を開いた時、突然忘れていたものを思い出した。
「…お母さーん!荷物の中にスマホなかった〜?」
ご飯やらなんやらを満喫していて、すっかりスマホの存在を忘れていた。そろそろ元貴も書置きに気づいた頃だろうか。
「忘れてると思って部屋の机置いておいたわよ。」
「ありがと〜!」
髪を乾かすことよりも先に部屋に向かう。元貴はこまめに連絡を返さないと心配になってしまうらしい。そんな所も大好きだけれど。
「えーっと…あ、あった。」
部屋に入り、机の上に目を向ければ、半日ぶりのスマホとの再開を果たせた。
「……え?」
早速連絡を返そうとスマホを開いた時、送られてきていた通知の内容に唖然とした。おびただしい程の不在着信の量に、100件以上のLINE。慌てて電話を掛ければ、コール音が一回もならない内に声が聞こえた。
「涼ちゃん!!!!俺何かした!?そんな急に実家帰るとか、本当に心当たりなくて……。嫌なとこあったならちゃんと治すからさ、」
「え…、?あ…、?ん……?」
理解できそうで出来ないような内容を早口で話される。スマホの向こうの元貴は完全にパニックになっているようで、しまいには泣き出してしまった。
「俺涼ちゃんの優しさに甘えてたよぉぉお……涼ちゃん居ないと生きてけないのにぃ……。」
「ちょ、落ち着いてよ…、」
簡単に内容を纏めると、”実家に帰ります”というメモの意味を履き違えていたらしい。てっきり愛想を尽くされたと勘違いしてたとか。
「飼ってるわんちゃんが危なそうだったから急いで帰っただけ!別に元貴に愛想尽くしたわけじゃないよ。」
「…ほんとに?もう帰ってこないとかじゃない?」
「うん。あ、でも帰るの1週間後とかになるかも。 」
帰りが遅くなるのを伝えた途端、元貴の声が聞こえなくなってしまった。電波が悪いのかと思い画面を見てみるが、特に何か表示されている訳でもない。
「あれぇ……?元貴聞こえて……」
「ねえ、」
突然聞こえた低い声。反射的に肩が跳ねてしまうのは、今までの元貴を身体が覚えているからだろうか。決まってその声を出す時は怒っている時。
「それ本気?俺の事置いて1週間もそっち居るとか。」
「……でも折角来たし……。」
「無理、明日中に帰ってきて。」
電話越しの相手の表情は分からないが、相当怒ってるようだ。確かにこの間、「一緒に実家帰ろうね。」なんて話をした気がする。1人で勝手に来てしまったのは反省しているが、帰ってこいとまでは言わなくてもいいじゃないか。今回は強気に抗議をしてやろうと口を開いた時、丁度元貴から発せられた言葉で遮られてしまう。
「じゃないと分かってるよね?帰れないとか言わせないから。」
そんな恐ろしいセリフを残して切られてしまった電話に、身体の力が抜ける。長い間一緒に居ればわかる。あれは本気だった。いつの間にか部屋に入ってきた犬が慰めるように顔を舐めてくれる。柔らかい毛並みを撫で、手のひらに感じる温もりを惜しみながら、元貴の元に帰る準備をした。
めっちゃしょーもないんですけど、”元貴の元”にじわじわきてました🤤
次回🔞入ります……。下手っぴですけど生ぬるい目で見てください😔
コメント
14件
ありゃりゃ、、、 これは❤️くんだいぶ怒ってますよ、、、怒り方可愛いってはじめ思ったけど 最後の言葉で急にぞくってきました👍💛ちゃんがんばって、、、!
大森さんのパニくり方笑っちゃいけないけど、可愛すぎる。続き楽しみ〜♪
まじ最高 続き楽しみにしてます!