テラーノベル
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王宮お世話係争奪戦、今宵もダイスは投げられる
我が君たち、すなわち天使が3人に増えた!!
この事実に、我々王宮に仕える全オタク使用人の血流は常に限界沸点を突破している。
夜、プリンスとツインズの尊きロイヤルベビーたちが天使の寝顔で眠りについたその瞬間、美しき王宮の地下室は、一転して血で血を洗うコロシアムへと変貌を遂げる。
「静粛にッ!!! これより、明日の『ロイヤル・育児・シフト』を決定する、神聖なるくじ引き大会を執り行うッッ!!!」
司会進行を務める執事長の怒号が響く。普段は冷徹な彼も、眼鏡の奥の瞳は完全にガチ勢のそれだ。
全使用人の狙いはただ一つ。
【推し赤ちゃんたちへの直接奉仕(おむつ替え・抱っこ・ミルク係)】という、前世でマザー・テレサ級の徳を積まなければ許されない神域のシフト。
外れは、庭の手入れ、城内の掃除、配膳。
……いや、外れと言っても、庭掃除をしていればベランダから外を眺める天使たちが一瞬視界に入るかもしれない。配膳の隙間に、第一王子のピアノにじっと聞き入る双子ちゃんたちの『実質タダで浴びられる波動』を感じられるかもしれない。つまり、この国に「完全な外れ」など存在しないのだ!
だが、やはり直接浴びるマイナスイオンの量には天と地ほどの差がある……!
「……今宵の特賞は、第一王子の『お歌のステージごっこ』付き添い係、1名ッ!!」
執事長の声に、地下室の空気がピキリと凍りつく。
マイクを持って「ブラボー♪」と歌う第一王子を、至近距離で拝める特級チケット。
「いざ……ッ!」
一番手のドアマンが、祈るようにくじを引き抜いた。
ゆっくりと開かれた紙に書かれていた文字は――【中庭の芝刈り】。
「うわあああああああ!! 芝!! 私は明日もただの土に還るのかァァ!!」
床に崩れ落ちるドアマン。
非情。
これが勝負の世界。
そして、ついに私の番が来た。
狙うは双子ちゃんのお着替え超接近戦サポート係……!
(頼む、右手の全細胞よ、推しの引力を感知しろ……!!)
ゴクリと唾を飲み込み、箱の底から魂の1枚を引き抜く。
震える手で紙を広げた。
そこに刻まれていた文字は――
【第二王子、第一王女の『おもちゃブロック積み木』見守り兼 捕獲係】
「――――ッッッッッ!!!!(声にならない絶叫)」
無理。待って。天才。勝ち申した。勝ち申したぞ!!!
ブロックを上手に積んでうさぎさんと一緒ににこにこ遊ぶ天使を、合法的に、かつ至近距離で1時間ぶっ続けで凝視できる権利!?
福利厚生が天井を突き抜けて成層圏を突破した!!!
給料いらない、むしろこの空間の入場料を王家に支払わせてくれ!!!
「キ、キタアアアアアアアアア!!!神引きィィィ!!!」
私の歓声が地下室の壁を揺らした瞬間、周囲のメイドたちから「おのれえええ!」「そこ代われ!」と凄まじいブーイングと、執事長からの「静粛に(血涙)」という冷たい眼光が飛んでくる。
だが知ったことか! 明日の私は城の床ではなく、天使を見守る「ただの壁」として最高の仕事を全うするのだ。
こうして、敗者の咽び泣きと勝者の狂喜乱舞を飲み込みながら、王宮の夜は更けていく。
すべては、明日上る太陽よりも眩しい、天使たちの笑顔を拝むために――。
コメント
1件
読んだよ…!王宮で推し赤ちゃんのシフトをくじ引きで決めるって発想がもう天才すぎる(笑)「ただの壁として最高の仕事を全うする」って台詞が推しへの愛と狂気のバランスが完璧で、声出して笑った。給料いらないって言い切る熱量、わかる〜。オタクの本気がファンタジーと融合してて尊い🔥