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あー、もう、この後輩くん……ツンデレにもほどがある!(笑) 「先輩として」って言われたときの、一瞬の表情の変化とか、うつ伏せになっちゃうところとか、完全に拗らせてる感じがたまらなく可愛い。 でも、甘い笑顔で詰めてきたり、寝て待つって言い出したり、距離感の絶妙なズレが胸にくる……。 先輩が気づいてないだけで、もう彼の努力って全部「先輩のため」なんだろうなあ。次が気になります!
「せぇんぱい♡」
背後からの甘ったるい声に、私は弾かれたように振り向いた。そこに立っていたのは、メンティーである後輩だ。彼は、いつものクールでどこか他人を寄せつけない雰囲気とは裏腹に、今は満面の笑みを浮かべ、私のモニターを指差している。
いや、正確には「なぜか、私のミスを指摘する時だけ」嫌味なほどに太陽のような笑顔を見せるのだ。
「ここのセル、範囲指定されてないっすよ」
「あっホントだ!ありがとう」
私は慌ててマウスを操作し、指摘された箇所を修正する。心臓が少し跳ねた。彼の笑顔が直視できないのは、ミスのせいで気が動転しているからだ。そう、自分に言い聞かせた。
「先輩、仕事手伝いますよ」
「えっ、悪いよ」
「お礼に飲みに連れて行ってください♡」
彼はそう言って、顔を近づけてくる。私は思わずのけぞった。
「あれ?あんた、今日同期会じゃないの?」
首をかしげて尋ねると、後輩はあからさまに不機嫌に眉を寄せた。
「あぁ……。俺、人と飲むの苦手なんで」
「なんじゃそりゃ。じゃあ、私は人ですらないってか!」
彼の冷たすぎる言葉に、私は呆れた顔で苦笑いを返した。すると、後輩はますます不機嫌そうに「チッ」と舌打ちをした。
「なんで、わかんないんですか……」
彼は、私との無駄話を打ち切るように顔をモニターの方に向け、小さくつぶやく。
私は、再びモニターに映る見積書に集中し、一つ一つ項目を確認し直した。
その様子を見て、彼は私の隣の席に無言で座り込むと、片手で頬杖をつき、気だるそうに机に寝そべった。
「何よ。手伝ってくれるんじゃないの?」
「手伝うのやめます。めんどくさいし…どうせ、先輩は俺の努力なんか見てくれないので…」
「はぁ?そんなことないわよ。私は、ちゃんと先輩としてあんたの努力を評価してるわよ!」
「先輩として…ねぇ…」
後輩は不満そうにむくれると、完全に机にうつ伏せてしまった。長い前髪が彼の顔を隠す。
「ちょっと。手伝わないなら、同期会行きなさいよ」
「嫌ですよ。先輩の仕事が終わるまで寝てるんで。終わったら起こしてください」
はぁ……。このダウナー系の後輩は、どうにも扱い難い。私は深いため息をつき、彼の存在を半ば無視して、再び仕事へと意識を戻した。彼の冷たい態度とは裏腹に、胸の奥で、先ほどの甘い声と笑顔が小さな熱としてくすぶっているのを感じていた。