年末休みが幸いし、どうにか仕事に行くまでには立ち直ったものの、
あのグクの変わりように、人と話すのが怖くなった僕。
いつも以上に淡々と業務をこなし、
いつも以上に無心でいようと心がけてしまうようになっていた。
そうやって考えていなければどうかなってしまいそうなほど、心が揺さぶられていた。
自分のグクへの強い想いに気づいてしまった今、
彼が女の子と遊び回る身分だと知ると、
そして、何より彼には少しも僕に対して気持ちがなかったと思い知らされると、
底の見えない崖に突き落とされたような、悲しさと虚しさでどうしようもなくなる
男に惹かれる僕は、異質な存在。
女性を恋愛対象として、しかもそれを金儲けの手段としている彼からしたら、
こんな僕を相手にする価値などほんの少しだって無いのだと、
彼に言われた言葉を何度も思い出して、
自分で自分を貶した。
少し心が通ったと思った自分は、ただの思い上がり。
自己満足だった。
それを自覚してしまうと、コンビニにも行かなくなった。
また、ガラの悪い暴走族のような人に絡まれそうになったら嫌だったし、
何より、グクに会えたとしても、どんな顔をして会えばいいのか分からない。
単純に怖かった。
会いたいと、
思えなくなってしまった。
とはいえ、こんな打ちのめされた僕にも、
神様は意地悪。
それは、彼のことから距離を置こうと、一旦心を落ち着かせようと、
傷ついた気持ちを慰めていたある日のことだった。
部下のミスで残業を強いられてしまい、どっと疲れ果てて、そして、夜もすっかり老けてしまって、
これから帰ってご飯を作ることなど、どう考えても無理だと、眠い身体を引きずって歩いていた。
残り物でも、、と思ったが、昨日の夜も一昨日もその前も、また明日何か作ればいいやと、後回しにして
冷蔵庫の中をすっかり空っぽにしてしまったことを思い出す。
🐣「はぁ、、、」
今日は本当ならば、久しぶりに早く上がれるはずだった。
暇な時間ができるから料理をすればいいと軽く考えていたのに、、
ミスを犯した部下にも、昨日安易にストックを食べきってしまった自分にも、
心の中で悪態を着く。
仕方なく、
コンビニでも寄って帰るか、、と
数日ぶりにあの、グクと出会った場所へと向かった。
おにぎりと、明日の朝用の菓子パンを買って店の外に出たあと
どうしても気になってしまって、グクが座っていた場所をちらと覗いた。
🐣「ぇ、、、えっ、、うそっ泣」
思わず駆け寄って、その場に膝から崩れ落ちる。
そこには、2人で世話をした、あの白い子猫が、
息をしないで倒れていた。
🐣「ごめん、、泣ごめんっ、、泣」
この子のことをすっかり忘れていた。
前はあんなにしっかり会いに行っていたのに。
それでも頑張って生きていたんだろう。
前に見た時より、少し成長して、
体が大きくなっていたその猫を、胸に抱いた。
🐣「いやだ、、いやだっ、、泣
生きてて欲しかったのにっ泣
また一緒にお世話したかったのにっ泣」
溢れる涙が止まらなかった。
身体が震えてしまって、力が入らない。
時間ばかりが経ち、あたりはどんどん冷えきっていった。
仔猫を抱いたまま、子供のように泣きじゃくることしか出来なかった。
どれくらい泣いていただろうか。
何故か当たりが昼間のように明るいのに気づいた。
🙎♂️「ねぇ〜おにいちゃん、そこで何してるの?」
いかにも危険な色を含んだ声が聞こえ、
壁にもたれ掛かるようにしてうずくまっていた僕の背中を、誰かが足で軽く蹴った。
🐣「っ!!」
そこでようやく、
自分を照らす、その煌々とした明かりが、バイクのライトだと気がつき、
自分が今、男たちに取り囲まれてしまっているのだと理解する。
すぐ後ろに立ちはだかっている人影を感じたが、恐ろしくて振り向くことが出来ない。
ぐったりしている自分の大事な仔猫を、ぎゅっと抱きしめて、
この時間が早く去ってくれと願った。
🙎♂️「なんで無視するかなぁ、俺たちさっきサツに絡まれてさ〜イラついてるんだよねぇ〜」
それでも黙り込んでいたら、
🐣「いやぁっっ泣」
いい加減反応しねえと殴るぞ、と脅す声が、
僕の髪を乱暴に掴んで引きずり、ライトが照らす方へと身体を起こさせた。
怖くて怖くて、
涙を堪えながら目をぎゅっと閉じる。
🙎♂️「うぇ、、こいつ、野良猫抱いてやがるㅎ
しかも死んでね?やばすぎㅎㅎ」
笑い声が上がって、バカにされた恥ずかしさでカッと顔が熱くなった。
🙍♂️「同じようにして欲しいってことじゃねえの?」
少し離れた方から煽る声がする。
そういう事か、と楽しそうに返事をした、近くの男が、
次の瞬間、
僕を思いっきり蹴り飛ばした。
そのままガンッと壁に頭を打ち付ける。
あまりの痛さに一瞬意識が朦朧とした。
🐣「うっ、、、、やめて、、泣」
🙍♂️「夜中に猫の死骸抱えて泣いてるやつなんて、まともじゃないよな、
始末してやらないと、ㅋㅋ」
周りからも笑い声が上がり、
調子付いたその男が何度も何度も僕を殴って蹴ってくる。
あまりの痛みに呻きながら、仔猫には当たらないようにぎゅっと抱きしめながら
もう僕は終わったと思った。
後悔した。
早く家に帰るべきだったと。
大してお腹も減っていないんだから、何も食べずに寝ることにすればよかったと。
そして、、
あろうことか、
グクに出会わなければ、
こんなことにならなかったのではないかと、
初めてそこで、大好きな彼を恨んだ。
めちゃくちゃに殴られて、コンクリートの壁に何度も何度も身体を打ち付けながら、
あんなに優しくして、
好きにさせておいて、
舞い上がらせておいて、
最後には、僕の心がどうかなってしまうほどにズタボロに打ちのめして捨てた、
そんなグクに、怒りを感じた。
出会わなければよかったと思った。
コメント
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😭😭 ジミン大丈夫?暴走族みたいなやつ ちくわがボコボコにするね(*^^*) グクよ早く助けに来なさい! 主さん最 & 高です!!
こんなに推しが殴られてるのに興奮してる私は人間なのかな、なんなら犯されてほしいとか思っちゃってるんだけど??でも絶対主さんもこっち側の人間ですよね?作品に性癖が滲み出てますよ
辛い…辛いシーンだけど、体を痛めつけられるより、🐥の心が🐰に傷つけられるシーンの方が辛かった気がするのは何故だろう😣今回も、より辛いのは悪い輩に殴られていることより、子猫ちゃんの命の方だったり… 🐥の心の辛さが、振り切った方が、中途半端に何か残るより前に進めそうな気がして。あとは上がるだけだよ…と思いたいんだけどな…😭どうだろう…😭応援しているよぉ(> <。)