人間とは、なんて愚かな生き物なのでしょう。
平然と嘘を吐き散らかし、仲間である者を責め、信じた者を裏切るなんて__
「本当に、反吐が出るわ…。」
美しい花が、輝くように咲き、木々達は木の葉をざわつかせる___
その美しい庭には、この狂ったようなゲームのハンター、マリーが、
椅子に腰を下ろし座っている。
茶菓子を手に取り、上品に頂くその姿はまさに『女王』だった。
小鳥達の、まるで歌っているかのような綺麗な囀りを聞きながら
___女王は目を閉じた___
「あれは、どのくらい前の事だったのかしらねぇ….」
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あの日も、今日と同じくらい周りは穏やかで、美しい太陽が空にあった。
「お母様ー!」
豪華な服を着た小さい男の子がマリーの方へ急いで走ってくる。
その男の子はマリーに抱きつき、つぶらな瞳をマリーの方へと向ける。
「お母様!聞いてくださいお母様!」
男の子は嬉しそうに言いだす。
「どうしたの、私の愛しい小さな王子様?」
と、マリーは微笑みながら答えた。
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「さっきお母様の大好きな『薔薇の花』を見つけました!!」
と自信に満ち溢れた笑顔でマリーに話した。
「あら!そうなのね!それは嬉しいわ!」
マリーは自分の我が子に向かって少しお辞儀をし、
私の大切な大切な小さな王子様、とその男の子のおでこにキスをし、言った。
ああ、毎日がこんな幸せだったらよかったのに…..
毎日毎日笑顔で笑いあって、毎日毎日我が子に愛を注ぎ育てれたら、
本当に、良かったのに、それだけでも、幸せだったのに___
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『あの幸せだった日』を思い出していたマリーの瞳は見る見るうちに
曇っていき、マリーの頬に冷たい何かが何回も滑り落ちた。
パート1『マリーの思い出』
___終わり___