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3月。風も気温も冷たいこの日。1個上の先輩が卒業する。

俺の憧れだったぼんじゅうる先輩の卒業式には、早く咲いてしまった桜と、桜には似合わない雪がパラパラと舞っている。

ありえないほど、幻想的な景色の日だった。

ぼんじゅうる先輩には、何度も助けてもらった。

俺が珍しく体調悪いときは、誰よりも先に気づいてくれて気にかけてくれた。泣きたいほど大きなミスをしてしまったときは、背中をさすって「これは失敗じゃない!多分!大丈夫!」と意味の分からない言葉で励ましてくれた。

そんな彼は、ドズル社高校へ行くそうだ。

俺も、絶対にそこの高校に受かって、先輩ともう一度会うんだ。


「ぼ……、ぼんじゅうる先輩っ………、!」

先輩の綺麗な紫色の瞳がこちらへ向く。その瞬間、空気が変わるのを感じた。

「ん?あぁ、おんりーじゃないか。久しぶりだな。」

先輩の低くて優しい声は、ひどく心地が良い。

「………卒業、おめでとうございます。」

「ふっ(笑)おんりーが祝ってくれるなんて…、明日槍でも降るのかな(笑)」

「バカにしてます?」

あぁあ、なんでこんな可愛気のないことを言ってしまうんだ。

言うんだ、ちゃんと、言わないと。俺も、貴方と同じ高校に行きますって。

「で、何か話あるの?」

「ぁ……えっと、その………。」

上手く、言葉が出てこない。いつも生意気なことばっか言ってたから。生意気な後輩だなって、よく笑われたから。

「こ、高校……頑張ってくださいね。」

言いたいことではない言葉がポロッと溢れる。

その瞬間、ドズル先輩がぼんじゅうる先輩を呼ぶ声が聞こえた。

「うん、勿論だよ。呼ばれちゃったから行くね。ばいばい!」

無邪気に笑う先輩に素直に笑えないまま、手を振った。

…………言えなかった。ちゃんと、言いたかったのに。


憂鬱な気持ちで家に帰ると、従兄弟のおらふくんが飛びついてきた。

「おんりー兄ちゃん、お帰りーー!」

おらふくんは、明るくて元気な小学2年生。いつも一緒に遊ぶけれど、そんな気分じゃない。

「ごめんね、おらふくん。俺今から勉強するから…。」

俺の足元に抱きついてるおらふくんは、ぽやーっと俺の顔を見上げていたが、俺の言葉を理解すると、瞳をうるうるっとさせ始める。

慌てる俺とは裏腹に、おらふくんは大きな声をあげて泣いてしまった。

その声を聞いた母親が俺に怒声を浴びせた。本当に、今日は良いことがない。


「それでね、それでね。」

結局、おらふくんと遊ぶことになってしまった俺。本当にツイてない。

「MEN子ちゃんにお手紙書いたの!そしたらね、転校先の学校でも頑張れるって言ってくれたんだ!」

さっきまでうんうん、と適当に頷いていたが、おらふくんの言葉で目覚めた。

そうだ、手紙。手紙で伝えればいいんだ。俺らしくないけど。

おらふくんには一旦退室してもらうことにして、俺は便箋に文字を書き始めた。


「ぼんじゅうるー、お手紙が届いてたわよ。」

母さんが俺に1つの封筒を渡した。黄色の封筒が星型のシールで封されている。

「ぼんじゅうる先輩へ」と書かれている文字は、間違いなくおんりーのもの。

封筒を破かないようにシールを剥がし、便箋の文章を読んだ。


ぼんじゅうる先輩へ


卒業式の日に伝えられなかったことを、今伝えます。

俺はずっと先輩に憧れてきました。

優しいところとか、面白いところとか。たまにダメダメなところも、全部憧れです。俺はなんでもできるけどね(ドヤ)

でも、俺には無いものを持ってるからこそ、憧れてしまったんだと思います。

ぼんじゅうる先輩、ドズル社高校に行くんですよね。

俺も一生懸命に勉強して、先輩ともう一度会えるように頑張ります。

だから、次はドズル社高校の入学式で会いましょう。


おんりーより


おんりー、本当に文字綺麗だな。ちょっとうるってしちゃった。

手紙書いてもらって、申し訳ないけどさ………



「俺らお隣さんじゃね?」

感動する手紙(アツクラ)

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コメント

5

ユーザー

最後のオチ最高w リクエスト!! さんちゃんくメンバーでの手紙! 病気になった雨栗さんは2人にそのことを隠していた、けれど2人は少しだけ雨栗さんの行動を不思議に思ってた。雨栗さんの病気は重いもので、余命宣告までされてた。 けどそれも黙っててその後亡くなった。2人は医師さんたちに呼び出され亡くなったことを伝えられて雨栗さんが書いた手紙をみた。 という話です!!! お願いします!

ユーザー

最後のオチ面白すぎますw どうやって手紙渡すんだ...?って思ったらそういう事だったんですね! 確かにお隣さんなら手紙渡せますね (*^^*)

ユーザー

。゚(゚´Д`゚)゚。感動する! てか、お隣だったんだ!

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