──ディナーを共にしたあの日以来、彼のことを意識しすぎるあまりに、関係がぎこちなくなってしまっていた。
以前は普通にできていた車内での会話も滞りがちになって、沈黙が続くようなことも増えていた。
どうしよう……本当は、今まで通りに楽しくおしゃべりがしたいのに、
彼のことが好きすぎて、まともに目さえ合わせられなくて……。
こんなんじゃ逆に嫌われちゃうんじゃないのかなと思うと、よけいに気持ちが落ち込んでという悪循環に嵌っていた。
そんな私を心配したのかもしれない──。
車での帰り道で、「明日の休日は、何か予定があるかい?」彼がふと尋ねてきた。
「いえ、特に用事は……」と、首を左右に振って応える。
「それなら、明日の朝に私の家に来てもらえないだろうか」
「家に……、はい……」
きっと彼は私のことを気遣ってくれているんだろうなということはなんとなくはわかったけれど、家へ呼ばれた意図はまるで想像がつかなかった……。
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