テラーノベル
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第4話です。読みにくいところがあったらすみません。では、どうぞ。
第4章:崩れるアリバイ「そんなSFのようなトリックが、本当に成立するのか?」氷室の顔から余裕が消えていた。「成立します。犯人は射出後、チューブを外側から引き抜き、証拠を隠滅した。ダクトのシャッターは自動で閉まり、室内にはただ、刺さったまま融けていく氷のナイフと、息絶えた阿久津さんだけが残された。これが、完璧な密室殺人の全貌です」神崎はゆっくりと歩を進め、一人の人物の前で立ち止まった。「このトリックを実行するためには、実験室の空気力学的特性を完璧に把握し、高強度氷ナイフを自作できる設備を持ち、さらに窒素ボンベの配置を知っている必要があります。……そうですね、氷室所長?」ラウンジに沈黙が降りた。「証拠ならあります」神崎は言った。「氷のナイフを高硬度にするため、あなたは凍結防止剤の成分である塩化カルシウムを添加し、融点をコントロールしようとした。その結果、被害者の傷口から溢れた水が床に垂れ、乾燥して、先ほど私が発見した『塩分の結晶』を残した。そして、あなたの実験室の個人冷凍庫を先ほど拝見しました。そこには、ナノファイバーを配合した水を急速冷凍するための、特注のナイフ型モールド(型枠)が残されていましたよ。急いで片付けたようですが、付着した成分の分析を行えば、被害者の体液から検出されるであろう微量成分と一致するはずです」氷室はがっくりと膝をついた。「阿久津は……私の研究成果を盗み、海外の企業に売り飛ばそうとしていた。あれは私の人生そのものだったんだ。渡すわけにはいかなかった……」彼が犯行を認めた瞬間、遠くからパトカーのサイレンの音がかすかに聞こえ始めた。吹雪が止んだ道路を、警察が上ってきたのだ。エピローグ数日後、大学の研究室に戻った神崎は、いつものように静かにコーヒーを淹れていた。玲香はノートを見返しながら、感心したように言った。「温度、気圧、物質の相転移……すべての科学現象が犯人の道具になっていたんですね。でも、先生がそれを見破れたのはなぜですか?」神崎はコーヒーを一口すすり、窓の外の冬空を見上げた。「犯人は科学を『人を欺くための武器』として使った。だが、科学の法則そのものは決して嘘をつかない。床に残された塩の結晶も、融けきれなかった水の痕跡も、すべては自然界の正直なサインだ。僕たちはただ、その声に耳を傾けただけさ」玲香は微笑み、新しく届いた論文の束を神崎の机に置いた。絶対零度の謎は解け、研究室にはいつも通りの、穏やかな論理の時間が戻っていた。(終)
コメント
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くまさん、第4話読み終えました! 氷のナイフを空気圧で射出するトリック、塩化カルシウムの結晶が証拠になる着地、めちゃくちゃ痺れました。科学の法則は嘘をつかない——その台詞がこの物語の核を貫いてて、読後感がとても清々しいです。エピローグでコーヒーを淹れる神崎教授の日常が戻ってきたシーンも、ほっとするいい終わり方でした。お疲れ様です、素敵なミステリーでした!