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第一章 “ 灯の届かぬ場所で ”
第二話 「 確信 」
「今日は四年六年それぞれバディを作り 、
四年生が持っている人形を六年生が守り
他の組の人形を取り合う実習だ 。」
「各自バディを組むように_______」
四年生を守りながら六年生の方々が
ほかの四年生の人形を奪うのが今日の実習内容
用は 、四年生というまだ実習に足を入れて
間のない僕達を足枷に六年生がどこまで動けるか
確かめるための課題なのだ。
なら 、この先誰が相手になろうと
別に結果は変わらないだろうと思う 。
いい頃合になって 、
飽きたと言い人形を渡してしまおう 。
「お前はいつまでそうしているつもりだ…?」
『もう滝なに?最近ずっとそればっかり』
「それこそこちらのセリフだバカタレ!!」
「バディをさっさと組んでしまえ 。」
『滝は七松先輩?』
「あぁそうだとも 。言われれば断れまい」
『ふーん 、頑張ってねー』
「お前も頑張るんだよ……..」
『おやまぁ』
呆れながらも何かをグダグダ言って滝は
七松先輩の元へ向かっていった 。
さて 、僕も真剣に相手を決めようかな
なんて考えていれば背後から気配がした
「….そんなに警戒されるとは 、」
『あっ 、ちが….立花せんぱいでしたか 。』
「全く 、殺気をすぐ出すんじゃない 。」
そう注意をされて思わず目を伏せれば
また声をかけられた 。
「 で? 」
『……で 、とは』
「相手だ 、バディは組めたのか?」
『あぁ 、いえ全く』
僕がキッパリそういえば 、
先輩は目を丸くさせ口を大きくあけて笑った
「して喜八郎 、私と組まないか??」
少々赤くなった頬を向けて僕にそう言った
まぁ 、いつもお世話になっている立花先輩なら
僕をよく知っているだろうし 、
僕だって迷惑をかけることも少ないはず 。
『えぇ 、ではよろしくお願いします 。』
僕がそう答えたとき 、先輩の口角が
ゆっくりと上がり僕を見て微笑むのが分かる
各自遠くへ逃げた後 、学園の方から煙幕が上がり
とうとう実習の合図がおろされた 。
「よし 、喜八郎 。」
『はい 、立花先輩 。』
「作戦通りでいくぞ 。」
『はい 、先輩 。』
「よし 、いい子だ 。」
そう頭を撫でて 、
合図の元僕達は四方に飛び別れた 。
四年生を守るのが実習内容だというのに
離れて平気なの?って思うでしょう 。
でも 、これが僕たちなのです 。
走り続ける中で 、
僕達は予想通りあのふたつの組を見つけた
そして僕は矢羽根を飛ばした 。
【西の方向に 、滝夜叉丸と三木ヱ門の姿を目視】
【七松先輩は見えますが潮江先輩は見えません】
そう伝え 、僕は木の上から
その二組の会話を盗み聞きしていた。
【了解 、今向かっている】
そう答えが返ってくる 。
そんな時 、僕の真横に誰かの戦輪が飛ぶ
「全くいつになったら折れるんだお前は!?
さっさとこの田村三木ヱ門に人形を寄越せ!」
「はっ!なぜ私がお前なんかに渡さねばならん!!
貴様こそ平滝夜叉丸に人形を譲れ!!」
…..馬鹿みたいな喧嘩がまた繰り広げられている。
滝のとこの先輩は楽しそうに見ているだけだし 、
そもそも 、三木の先輩はどこなのさ
なんて 、思っていると三木ヱ門の悲鳴が聞こえる
きっと痺れを切らした七松先輩が
代わりに人形を奪ったのだろう 。
滝夜叉丸の煽る声や
それにまた怒る三木ヱ門の怒号
そろそろ先輩も終わった頃だろう 。
戻らなくちゃ____________
『なっ、!?』
「なはは!そこに居たのは見え見えだったぞ!」
「喜八郎!?見てたのか?!」
『えぇ?まぁ…』
「なっ ………. 」
『まぁいいや 、僕はもう戻らないと』
「待て喜八郎!人形を寄越せ!」
『嫌ですよぉ 、七松先輩 。
立花先輩に怒られちゃいます〜』
「ふむ 、なら勝負だ!!」
これは参ったなぁ 、、
もし遅れれば立花先輩に怒られてしまう
『はいはい 、もう飽きてきましたし渡しますよ』
「んお?ほんとうか?」
「なっ 、喜八郎!!!」
『えーえそうですとも』
敵である滝夜叉丸が口煩く話しているけど
僕は 、懐に手を入れてそれを出した 。
「……これは…」
「んなッ 、前が見えなっ….」
『だぁいせいこぉ〜』
人形 。ではなく鳥の子を差し出しそのまま
立花先輩のところへ急いだ 。
『立花先輩 』
「遅いぞ喜八郎 、もう浜達は脱落したぞ」
『流石 、仕事が早い』
「当たり前だろう」
なんて 、いつものおちゃらけた会話をしていれば
何かがこちらへ向かってくる気配がする。
「……来たな」
そう先輩が仰った瞬間 、手裏剣が三つ飛んできて
それを踏鋤の踏子で受け止めた 。
「やぁ 、仙蔵にきはちろぅッ!?!!」
「わぁ、、?!大丈夫伊作くん!?」
『だぁいせいこぉ〜』
かっこいい登場のはずが 、
いつもの不運によってそれは叶わなかった。
それに 、相手のタカ丸さんも気の毒だなぁ。
「あはは 、この穴は喜八郎だね?
相変わらずだなぁ 。」
「 伊作 、口が達者だが
そんなに後輩を生身で置いていいのか?
簡単に取れてしまうぞ 」
そう煽る立花先輩 。
でもすぐさま伊作先輩は僕の前に現れた 。
「!おやまぁ」
間一髪で避けれたものの 、
本気で殺しにかかる目をしていて恐怖を覚えた
「仙蔵こそ 、喜八郎は無防備すぎるけど?」
汗がぽとりと落ちる頃 。
立花先輩は大きく叫んだ 。
「っ 、逃げろ喜八郎!」
「タカ丸は追いかけて!!!」
『はぁい』
「あいあいさー!任せて!!」
そうして 、僕vsタカ丸さんの
追いかけっこが始まった 。
「はぁはぁ 、待ってよ喜八郎〜!」
『嫌ですよぉ 、人形は渡しませんっ』
「けちー!!」
なんてふざけながら走っていた 。
後ろでは金属が交わる音 。
きっと六年生のおふたりが戦っているのだ
そうしていくうちに 、
すっかりと崖っぷちまで来てしまっていて
先に進むにはあの先まで飛び乗る必要があった
そこまでは少なくとも 、
自身の身長の二倍はあるだろう 。
でも僕にとって苦では無いため
難なく渡ってみせた。
「うぇ!?喜八郎どうやって行ったの!!」
『普通に 、飛んだだけです 。』
そう 、ただ飛んだだけなのだ 。
そうしてタカ丸さんも 、
意を決して飛び乗る事を決めた瞬間
は組特有の不運体質なのか 、タカ丸さんが
足を踏み入れた瞬間に崖が崩れ始めた 。
「うわぁッ!?!!」
その声を聞いたのか六年生の先輩達も
駆けつけて来ていた 。
「タカ丸ッ!!」
伊作先輩はタカ丸さんを助けようと走り出した
でも 、その頃にはタカ丸さんは既に崖の上 。
「………あれ?俺生きてる、、?」
『まぁ 、僕が引きあげましたから 。』
「えぇー!?喜八郎すごいよ!
あんな瞬時に動けたなんて!」
あはは 、と空返事をしつつも
僕自身は焦りに焦っていた 。
あまりにも本気を出しすぎてしまった 。
あんな瞬時に 、僕よりも重いタカ丸さんを
悠々と持ち上げ助けたなんて 。
きっとあの七松先輩でも出来やしないのに 。
絶対怪しまれた 。
六年生のおふたりがこちらを見つめてる 。
嫌な予感を感じたが 、それは見事に当たった
「喜八郎…. 今のって 、
『……っ 、立花先輩!もう行きましょう 。
ほら 、人形も取りましたし….?』
「いつの間に取ったんだ 。
まぁいい 、行こうか 。」
「もう取られたの?!」
「そんなぁ〜」
そうして僕達のペアは 、そのまま優勝を導いた
みんなは僕を褒めてくれていた 。
でも 、僕にとって今回は大失敗だ 。
もっと 、もっと頑張らないと______
「うわぁッ!?!!」
斉藤の怪しげな悲鳴を聞いた途端 。
伊作は真っ先に異変を感じ 、
戦いを辞め二人の元へ向かった 。
だから私も後を追うことにした
「タカ丸ッ!!」
伊作は俊敏な動きをしていたはずだ 。
だけど 、だけど喜八郎はもっと早かった 。
最近 、喜八郎に妙な違和感を感じることがあった
変な時間に穴を掘ったり 、
委員会中もぼーっとしていたり心ここに在らず
という言葉がぴったりすぎていた 。
伊作に相談しても 、
「きっと疲れているんだよ 。
そっとしといてあげよう」
と言って取り持ってくれなかった
でも 、今の喜八郎の動きを見て確信がついた
今まで喜八郎は 、偽物の喜八郎だったということ
「……雑渡さんの言う通りなのかな 。」
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