テラーノベル
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ーー 音が消えた後も、残るもの ーー
この物語を、
最後まで読んでくださって、
ありがとうございます。
ページを閉じる今、
あなたの胸の中に残っているのは、
どんな感情でしょうか。
切なさでしょうか。
喪失でしょうか。
それとも、
「確かにあった時間」への、
静かな温もりでしょうか。
この物語は、
記憶を失った人の話であり、
同時に、
“失う事を最初から知っていた人”の話です。
人は、
失うと分かっていたら、
誰かを拾うでしょうか。
終わると分かっていたら、
一緒に朝を迎えるでしょうか。
それでもこの物語の主人公は、
ドアを開けました。
理由は、
正しさでも、
勇気でもありません。
ただ、
「放っておけなかった」。
それだけです。
この物語で描きたかったのは、
運命的な恋でも、
奇跡的な救済でもありません。
描きたかったのは、
選んでしまった時間です。
人はいつも、
最善を選べる訳ではありません。
むしろ、
選んだ後に、
「正しかったかどうか」を
考え続ける生き物です。
それでも、
その瞬間に確かに存在した感情は、
否定出来ない。
一緒に飲んだコーヒー。
同じマグカップ。
雨の日の傘。
呼び方が変わった夜。
それらは、
未来を保証しない代わりに、
“今”を濃くします。
そしてこの物語は、
「一緒にいられなかったから、意味がなかった」
という話ではありません。
むしろ、
一緒にいられなかったからこそ、
確かに残ったものがある
という話です。
主人公は、
自分の命を差し出した訳ではありません。
ただ、
自分の時間を、
誰かと分け合った。
その選択を、
最後まで後悔しなかった。
それは、
とても静かで、
とても強い生き方だと思います。
そして彼は、
彼女を失いました。
でも、
空っぽにはなりませんでした。
音は消えても、
響いた事実は残る。
それは、
人が人と生きた証です。
この物語を読んで、
もしあなたが、
「何気ない日常が、少しだけ大切に思えた」
「誰かの名前を、心の中で呼びたくなった」
「今日という1日を、ちゃんと生きようと思えた」
― そう感じてくれたなら、
この物語は、
あなたの中で“生きた”事になります。
忘れても良い。
思い出さなくても良い。
それでも、
あなたが選んだ時間は、
ちゃんと残ります。
音のように。
形はなくても、
確かに、
そこにあったものとして。
最後に。
この物語に出会ってくれたあなたに、
ありがとうを。
そして、
今日を生きているあなたに、
どうか、
優しい時間がありますように。
― 音は、
今日もどこかで、
静かに鳴っています。
本当に、
ありがとうございました。
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