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本気にさせたい恋

109 - 第109話  揺らぎ始めた決心④

2024年09月27日

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「麻弥に・・・別れてほしいって言われたんでしょ?」


そして、ようやくオレがその核心に触れる。


「うん・・・」


実際それを見たワケじゃないし、オレと神崎さんの勘だったけど、やっぱりそうだったことがわかる。


「ごめん。麻弥がそこまですると思ってなかった。透子に辛い思いさせたよね」


オレだけの問題だったのに。

オレにもっと力があれば防げたかもしれないのに。

透子にそんな思いさせたくなかった。


「なんで樹が謝んの。別に樹が悪いワケじゃないでしょ。いつかは知らなきゃいけないことだろうし」


きっと透子一人で辛い想いをしたはずなのに、そんな話急に聞いてきっとオレに怒りをぶつけたいはずなのに。

だけど、透子はそうやって自分だけ辛い想いを抱えて、一人耐えようとする。

もっと泣いて怒って責めてもいいのに。


だけど、きっと何となくそんな気がした。

きっとそんな風にしたって何も変わらないことを、透子も多分わかっていて。

だから、きっとオレ達の気持ちもホントは変わることが出来なくて。


なのに、オレはこんな状況でも、透子とこうやっていれることがただ嬉しくて。

ここからオレ達の時間がホントに変わっていくことが、まだ信じられなくて。

透子が感情的にならずにいてくれることで、オレ自身も落ち着いて、この状況と透子と向き合える勇気が出てくる。


「会社さ。オレだと今のままだとどうやら頼りないらしくてさ。このままだと今いる役員も取引先もどんどん去って行きそうな勢いなんだよね」


そして、ちゃんと透子に伝える。

今の会社のこと、今のオレの気持ちを。


「樹はちゃんと今まで結果出してきたのに・・・理不尽だよね」

「結局今まで親父がどれだけこれまで人脈を作り続けてきて、その存在自体が偉大なのかって思い知らされた」

「確かに、それはあるかもしれないけど・・・でも樹は樹で、だからこそ頑張ってるんだし」

「結局は親父を信頼して皆ついてきてるんだよね。親父だから皆信じてきて、ここまでの会社になった。それがいざ親父がなかなか戻れないってなるとさ、この先不安になるんだろうね。結局親父じゃなきゃダメって人もきっといてさ。オレにはこの会社は任せられないって、結局親父と同じこと言うんだよ」

「でも、今は樹がこの会社を支えてるんだよ? 社長だって樹の頑張りわかってるはず」

「どうかな・・・。結局あの人も結果や形なんだよね。オレが今までこの会社でやってきたことなんてさ、あの人にとっちゃ大したレベルじゃないし、結局は認める気もないんだよね」

「だからじゃない? 今、社長も樹がどこまでやるか見極めようとしてて認めるきっかけを待ってるんじゃないかな」

「でも親父にしたらさ、自分の身体のことも考えるとあまり待てないから、麻弥との結婚で形を出そうとしている。昔から親父もそれが望みだったんだよね。オレが親父のレベルまで辿り着けないなら、せめて結婚してこの会社を大きくしろって」

「でもそれだけが社長の望みとは思えないような気もするけど」

「親父は絶対この会社だけは潰したくないし、他の人の手にも渡したくないんだよね。自分が一から作り上げてきた会社だし。だからオレが結果出す前に、この会社を守りたくて早めようとしてるんだと思う」

「ちゃんとわかってんじゃん」

「えっ・・?」

「なんだかんだ言ってさ、結局父親としての社長の気持ち、樹は理解してる。だから樹はそうありたいと願ってる、自分を認めてほしいって思ってる」

「それは・・・」

「だから、それでいいんだよ。樹は社長に認められる為にずっと頑張って来た。決して社長も樹を信じてないから結婚させるんじゃないと思う。樹に可能性を感じてるから、これからこの会社を任せる為に、樹にもっと広い世界を見てほしいんじゃないのかな」


透子の言葉はやっぱりオレの心に響く。

オレが理解しようともしなかった気付かなかった視点から、透子は光を与えてくれる。

多分オレ一人なら、きっとその光はずっと探すことが出来なくて、永遠にその場所には辿り着かない。

オレだけだと、きっと暗闇でずっと手探りしながら突き進んでいくだけ。


「あぁ・・・やっぱそうだよな」

「うん・・だから・・」

「やっぱ透子なんだよね」

「・・え?」

「そうやってオレが気付かない所まで気付いてくれるのが透子なんだよ。透子に初めて出会ったあの時みたいに、オレが見つけられないパズルのピースを、そうやって一つずつ埋めていってくれるんだよ」

「パズルのピース・・?」

「そう。オレの心のパズルのピース。ずっとグチャグチャだったんだよね。透子に出会うまでは。だけどさ、透子と出会ったあの日から、一つずつそのピースが埋まっていったんだ。透子のくれた言葉とか存在とかさ、オレ一人では埋められなかったピースをどんどん埋めてくれんだよね」

「また大袈裟だよ、樹は」

「いや、ホントに。オレの人生のパズルはさ、透子がいて完成するんだよ。透子の言葉に、オレが探していた答えとかさ、気づかされてることとかが一つ一つ探していたピースみたいにピッタリその心のパズルにハマっていく」


きっと透子にとっては何気ない言葉だったり、当たり前に存在している思い。

だけど、オレには存在していないそれらすべてで、力をもらえて救われる。

きっとそんな人これからも出会うことはなくて、透子だけしか存在しなくて。


「だからオレは透子がいなきゃダメなんだよ。オレの人生のパズルは透子がいないと完成しない」


透子がいたからここまでのオレになれた。

透子がいなければここまでのオレになれなかった。

透子がいないと多分オレはこの先もずっと未完成な人間のまま。


「それなら・・・私だってそうだよ。もう樹と出会ってから、樹がいないと私の人生のパズルだって完成出来ない」


透子の中で、同じようにオレも今はそんな存在でいれることが何より嬉しくて。

それだけでもオレは十分幸せで。


「樹と二人でお互いの人生のパズル完成させたかったな」


だけど、透子のその言葉がきっと今の気持ち。

透子の中ではもう完成させるという進行形じゃなく過去形に変わったのだと、わかっていたはずなのに、やっぱり胸が痛む。


「透子はきっとそういうだろうと思った」

「えっ?」

「きっと今の透子はオレが何を言っても、多分もうこれ以上一緒に完成させてくれないんだろうなって」


オレは何があっても透子を守るし、この先のことにも自信があるから、ただついてきてほしい、ホントはそう伝えたいけど。

だけど、それを全部言えないオレの勝手だし、一緒にいたいというオレの我儘で。

何も知らない透子にはきっとわからなくて。


「こんなに好きなのに・・・なんでうまくいかないんだろうね・・・」


その透子の言葉の中に、どれだけの透子の想いが詰まっているんだろう。

どれだけオレを想ってくれているんだろう。


きっともう透子は全部今の気持ちを言葉にはしない。

だけど、やっぱりそれが透子で。

オレが透子が一番大事で最優先するように、透子もオレを最優先する。

だからきっと今のまま一緒にいても、お互い幸せになれないこともわかってる。





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