前回の高校1年生のとき、海生は球技大会を休んでいた。
俺の記憶が確かなら、海生がまとまった期間学校を休んだのはその時だけだった。
「桜汰ー、まだお風呂入ってるのー?」
「んー…」
「早くあがってよー?お父さん待ってるんだから」
返事をするかわりに熱い湯に潜る。
母親の声や生活音が遠のいて、自分の内側に深く沈み込んでいくような感覚。そうして俺は、死ぬ前に病院で交わした海生パパとの会話を脳内で反すうする。
『海生が高校1年生の頃にね、仕事でオーストラリアに行ったんだ』
今はまだ予定はないけど、きっともうすぐ海生パパに出張の話が浮上する。
日程はちょうど、海生が嫌いな球技大会とかぶっている。当然、海生は学校を休んで出張についていきたいと思う。
『昔から僕の仕事に興味を*******
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