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つきのちゃんが「やるやん」って来たとこかっこよすぎてむり🥲🥲🥲🥲💖💖💖💖
_緑光 side
大抵、嫌な予知を見たときには更に頭痛が酷くなる。
星月衆の構成員に拾われてから早一ヶ月。
組織に慣れた、と言っては嘘になってしまうが、
想像していた人たちより何倍もいい人たちだった。
たまに面倒な絡み方をしてくる人も居るけど、
ハブられていない?というのだろうか。
疎外感はない。
それに、皆私の能力を煙たがったりしない。
この話をしたときには、とある人が能力を使って
「あっ、指溶けちゃった〜〜!」などと笑わせようとしてくれたこともあった。
と言っても、ここは裏社会なので暴力で解決するようなことも少なくはない。
まぁどれもこれも仕方ないかなぁとは思うが。
拾ってもらった立場なので、物は言えないし。
元から私は、前線に立てるような能力も身体能力も持ち合わせていない。
なので殆ど血は浴びないのだ。
というと聞こえは良いが、この短期間で私は1000を超える薬品の数々を覚えさせられた。
次は症状と病名覚えさせるか、と呟いていたときには本当に逃げ出してやろうかと考えたが。
これでも私の居場所、存在理由を作ろうとしてくれていたのだろう。
不器用な人が多いが、星月衆はとてもいい集団だと思う。
そんな恵まれた環境に居る私にも悩みはあるのだ。
最近、夢をよく見る。
ただの夢ならなんら差し支えないのだが、予知夢を見るのだ。
今日、朝に宮歌さんは転ける、というような小さな予知から、
忍飛さんと茜さんに、足立さんの雷が落ちるなどというような少し大きい予知まで幅広い。
そのせいで朝起きる度に頭が痛い。
羅生さんにも、そのうちオーバードーズで死ぬぞと言われた。
本当に嫌だ。
誰かに能力を譲渡できればいいのに。
_「ならば、お手伝いして差し上げましょう」
背後から、聞いたことのない甘い声が聴こえる。
まるで砂糖を声帯に閉じ込めたような声。
悪寒がする。
というか誰だ?
『どなたでしょうか。生憎、今は頭が痛くてお話は伺えないです』
これは本当だ。
この男が出てきた瞬間に一気に頭痛がした。
最近の予知夢の正体はこの男なのだろうか。
だとしたら何故こんな事をしているのかぜひ聞きたい。
先ほど言っていた言葉とは全く違うが。
_「そうですか、それは残念だ」
と言って男が目を瞑る。
途端に周囲に霧が充満する。
視界を奪われた。
これじゃ見えるものも見えない。
まぁ私には見えないものが見える能力があるが。
{{能力対象、”謎の男”。予知範囲、”周囲1km”、予知時間範囲、”1〜10秒間”、優先予知事項、”命の危機”}}
これで能力の準備は終わりだ。
あとは詠唱を心のなかでするだけ。
_「貴方、家族が居ないんでしょう?」
何故知っているのだろうか。
構成員に話したこともないのに。
_「今すぐにでも、貴方の家族を殺した人を殺めたい」
「…そうでしょう?」
_「ならば私がお手伝いを」
「銃殺、絞殺、首吊、炙り…、あぁ、ギロチンなんかもいいですね」
「あとは_」
『…もう、結構です』
振り絞った声を出す。
そんなの当たり前に決まっている。
けど、けど。
『私は今の環境に満足してますから』
『貴方なんかに私の未来は変えさせません』
『未来を見ているのは私です』
『未来を変えるのは私です』
『未来を司っているのは』
『私です』
能力を発動する。
伏せた目の内側に無数の可能性の”未来”が見える。
その中から、理論上最適解を選ぶ。
まぁそれは…、。
月「やるやん」
男の頭上から降ってくる紫髪。
月「はい任務終わり、よーやったな」
と頭を撫でられる。
小さいのに安心できる手が心地よい。
『…、ありがとうございます』
だけどまだ頭痛は治らない。
羅生さんに診ていただこう。
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名 甲鳥碓楽_Kounotori Kagura
二 緑光_Ryokkou
能 未来の目_Mikunome