・何でも許せる方向け・出てくる全てのこと、物、人に関係なし
・ド捏造
・CP表現無し
上全て理解出来た方のみお読み下さい。
違法入国者に撃たれたつぼ浦と違法入国者を捕まえる青井。
コン、と開いている病室の扉にノック音を1つ立てる。
「つぼ浦。」
『…初めまして。』
「初めまして。」
開いている扉はゆっくり閉めて、中に入る。
よっこらしょ、とジジ臭い言葉を発しながら近くにあった椅子を引き寄せ座る。
「で、どんな感じ?」
『……まぁ、違法入国者だな。』
つぼ浦が手を銃のようなポーズにして、自分の左横腹を指す。
『ここを一発。痛みがロスサントス製の痛みじゃなかった。』
「追撃はされなかったんだ?」
『そうっすね。すぐ死んだフリしたんで、多分騙されたんだと思います。』
「ふぅん……」
興味があるような無いような。ただ、わざわざ病室まで出向いて内容を聞きに来たのだから、きっと小指くらいの興味はあるのだろう。
「…で、その記憶喪失のフリ、いつまですんの?」
『…そうっすね…、….特に決めてはないんすけど、取り敢えず処理するまでは。』
「そう。まぁ多分あれでしょ?詳しく事情聴取されない為に、のやつでしょ?」
『そうです。』
「その判断自体は悪くないと思うわ。今お前は”ロスサントス外の銃で撃たれた重症患者”だから、お見舞いとかも来れないしね。」
納得したように頷いているが、青井は今自分が最大限に矛盾している事に気づいているのだろうか?
『見舞いに来れないって言ってますけど、今アオセン来てんじゃねぇか』
「…それはまぁ……俺だし?」
『どーせ救急隊の目ェ盗んでそこら辺の窓から入ってきたんだろ。』
「へへ。まぁいいじゃん?つぼ浦は今怪我してて動けないし、」
『いや、動けますけど。』
「……」
『……….動けません』
黒く青い深海のような目で蛇のように見つめられたら、言葉に背ける訳もなし。こんなん半分脅迫だろ、と頭の中でだけ反抗する。
「動けないし、つぼ浦を撃った奴はまだロスサントスにいる。いやぁ〜つぼ浦に銃撃ったやつとかめちゃ気になるやん?
だから、俺が殺りに行くわ。」
『え、、…アオセンが行くんすか?』
「うん。そのためにわざわざお前に聞きに来たんよ。じゃ、もう早速探しいくね。」
椅子から立って、病室の扉ではなく窓に近寄る。手をかけて鍵を開け、ガラスをズラせば夕方特有の寂しい風が入ってくる。
『ちょ、アオセン気をつけて下さいね?!』
窓の縁に乗り上げて、下に人がいないか確認したあと、楽しそうに飛び降りる。
つぼ浦が急いで言った言葉は、なんとか聞こえていたようで、つぼ浦のことを見ずに手を軽く振ったあと、淡いオレンジに消えていった。
「つぼ浦〜」
数時間たって、夕日は沈み暗く静かな夜がやってきた。ただ、ロスサントスはあまり昼も夜も変わらず、サイレンが忙しなく鳴り響いている。
『アオセ、って、ゲ!!ソイツここに持ってきたんすか!?』
数時間前に窓から飛び降りて違法入国者を探しに行った青井が帰ってきた、と思えば、その違法入国者の足を片手で持ち、引きずっているでは無いか。
「んえ?うん。取り敢えずつぼ浦にとったどーってしようと思って。」
『はぁ…てか、気をつけてって言いましたよね??』
「気を付けたよ?俺一つも怪我してない。」
きょとりとして青井は自分で自身を見回す。確かに赤黒い血が所々服に付いてはいるが、それは青井のものでは無さそうだった。
『アオセンの心配なんてしてないっすよ!!ソイツですよソイツ!ソイツ死んでんじゃないっすか?』
つぼ浦はそういう事ではないと首を振り、青井が片手で持っている違法入国者に指を指した。
「え、…….やばいつぼ浦コイツ死んでるかも。」
『だー!!!だから言ったじゃないっすか!情報とか搾り取りたかったのに…』
「ごめーん…コイツがつぼ浦に怪我させたんだって思うと、、、手加減はしたつもりなんだけどなぁ…」
青井はバツが悪そうに頬を引っ掻き、目を逸らす。
『…はぁ。…まぁ、市長ん所でも持ってけば何とかやってくれんだろ…取り敢えず、ソイツは市役所に持ってって下さい。』
「はぁい。…あ、そうそう。」
片手で持っていた足を離し、べチャリと地面に落とした後、自分のスタッシュを漁り注射器とロケランを渡してきた。
「ちゃあんと注射器とロケラン持ってきたよ。お前の怪我治すやつと記憶喪失治ったって言う用。」
丁度それを今から頼もうとしていたつぼ浦は目をパチパチさせた後、差し出されたそれらを受け取る。
『アオセンも偶にはやるんすね。』
「偶にはってなんだ偶にはって。」
『はいはいあざーす。』
自分で怪我を直そうと注射器を持って、ここで気づく。
『あ、?これ、注射器じゃねぇか。』
「そうよ?注射器って言ったじゃん。」
『……アオセン、俺が注射とか苦手なの知ってますよね?』
「そりゃ知ってるけど、注射器が1番治り早いじゃん。」
最もであることを言われ、ぐうの音も出ない。
ダラダラと冷や汗が流れる。
「…俺がしてあげようか?自分じゃ勇気出ないでしょ。」
少し離れて突っ立っていた青井がつぼ浦に近寄り手を差し出す。つぼ浦は無言で青井の手に注射器を置く。
つぼ浦が座っているベットに上がり、撃たれた部分が見えるように服を上にズラす。
「うわー痛そう。治り遅いんだもんねぇ」
『普通にクソいてぇから早くしてください』
「え、早くしようとすると雑になるけど。いいの?」
雑になる=痛くなる。そもそも注射が苦手なのにさらに痛くなるなんて御免だ。
『…ちゃんとしてください』
「はいはい。」
つ、と皮膚に針を宛てがう。青井は出来るだけ怖がらせないように、つぼ浦自身の横腹が見えないように身体を挟み込む。
つぼ浦は目を瞑って一生懸命横腹から顔を遠ざけている。
「つぼ浦、俺の手握っていいから、頑張って。」
左手はベットのシーツを握り、右手は青井の手をこれでもかと強く握る。
素早く痛くないように針を刺す。
つぼ浦がうぅ、と呻き声を上げたが、動揺してはいけない。それで痛くなるのはつぼ浦だ。
急いで注射器の中身を注入する。注入した傍から直ぐに皮膚は再生して行く。
「ふぅ……つぼ浦、終わったよ。大丈夫?」
青井がそう言い背中をさすれば、恐る恐る目を開ける。
『………….もう嫌だ……』
「仕方ないよ銃撃たれちゃったんだもん。よく頑張ったよ。」
痛みで若干つぼ浦の目に涙が溜まっているので、それを優しく指で拭ってやる。
『絶対情報吐かせてください。俺に注射をさせた罪は重いぜ。』
「はいはい。じゃ、俺は市役所行くから。取り敢えず今日はこのまんまゆっくりしてな〜」
青井はベットから降りて、ちゃんと病室の扉から違法入国者を引きずり出ていく。
つぼ浦はまだ横腹に若干違和感を感じつつも、疲れた身体を休ませるために夢の中に潜り込んだ。
違法入国者。ー終ー
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