テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「……あら」
いつも私に翻弄されるばかりだったくせに。
(……少しは成長したじゃない)
優しくソファへ押し倒され、ネグリジェの胸元で結ばれたリボンを解かれる。覆いかぶさるように顔が寄せられ、首筋に唇が落ちた。
ためらいがちな吐息が肌をかすめる。鎖骨の窪みから、肩へ。そして、胸元へ。お世辞にも慣れているとは言い難い。
けれど、不器用ながらも反応を少しも逃すまいとする必死さが伝わってくる。
(ふふっ、一生懸命ね)
胸元のほくろに、軽い口づけが落とされた。やがて、薄紅の先端を深くくわえ込まれる。大きな手のひらが、もう片方の膨らみを優しく揉みしだき始めた。
「あ……っ」
(まあ、悪くない……。いえ、むしろ……いい方かも?)
焦れたようにネグリジェがたくし上げられる。唇がお腹へ滑り、おへその窪みから、さらに下へと降りていった。
「ちょっと……っ」
(どこまで行くつもり?……)
太腿の内側へ吐息が触れる。不意打ちに、まだ触れられてもいない身体の奥が甘く痺れた。
(嘘──)
唇と歯で下着の紐をほどかれ、薄い布がするりと滑り落ちた。視線がそこに注がれているのを肌で感じる。
恥ずかしさに足をばたつかせると、足首をそっとつかまれた。
「んあっ……!?」
舌先で一番敏感な場所を探り当てられる。腰が無防備に跳ねてしまうのが、たまらなく癪だった。
(うそ、身体が勝手に……っ)
平気を装い、やり過ごそうとしたのに身体は正直だった。
「あ、んっ……、そこ……っ」
言葉は、もう意味をなさない断片的な喘ぎになっていた。
「……お前を喜ばせたいと言っただろう」
くぐもった低い声が、肌を震わせるほど近くで響いた。そして中心へ、ゆっくりと入り込んでくる。時には浅く、時には深く。刺激に耐えきれず腰が浮くたび、逞しい腕にそっと引き寄せられた。
「あぁ……っ!」
泣き出しそうな喘ぎが漏れたせいか、動きがふっと途切れた。けれどすぐに、太腿を抱え直される。さっきよりも丁寧に舌を這わせられ、思考が蕩けていく。
1000万ルク分の夜伽商談のつもりだった。それなのに──。主導権を奪われているのは、完全に私の方だ。こんなの、想定外にもほどがある。
やがて喉の奥から、抑えきれない声がこぼれた。
「……あっ、んんんんっ!」
これまで感じたことのないほどの快感が一気に突き抜け、視界が白く弾けた。自分が今どんな顔をしているのか、考える余裕すらない。
私はカイル殿下によって、初めて、こんなにも無様に崩されてしまったのだった。
けれど、彼は止まらなかった。調子に乗ったのか、それとも本当に喜ばせようとしているのか──。
太腿の間に顔をうずめ、敏感になりすぎた場所を優しくなぞる。静まり返った部屋に、淫らな水音が響いた。その音を耳にするだけで、身体の奥がじんと疼く。
「もう……だめ……っ」
声が弱々しくかすれていく。潤みきった場所は、さっきよりも深い刺激を求めていた。もう、それ以外の何も考えられない。
「お願い……もう、焦らさないで……っ」
かろうじて言葉を絞り出す。
「ねえ……早く……っ」
もはや懇願だった。その言葉を聞いたカイル殿下が、ゆっくりと顔を上げる。唇は、蜜で艶やかに濡れていた。
こちらを見つめたまま満足そうに微笑み、右手の甲で無造作にぬぐう。
(なんか……私ばっかり余裕がなくてムカつく)
「俺も、もう限界だったんだ……ソフィア」
焦れたように、カイル殿下の手が腰元へ伸びる。
カチャッ。
静かな温室に、ベルトの金具が外れる音が響いた。いつもの涼しげな顔とは裏腹に、身体はすっかり昂りきっていた。
(ふふっ、そっちこそ全然余裕なかったのね……)
そう思うと、なんだか無性に愛おしくなってしまう。
「……いつもより……ずっと、いい……っ」
「……そう、か?」
カイル殿下の目が、わずかに輝いた。
(……何、その嬉しそうな顔)
ゆっくりと沈められる感覚に、背筋が震える。何度も受け入れてきたはずなのに、今夜はいつもよりずっと深く、内側をくまなく満たされていく気がした。
奥まで収まると、動きが止まる。じっと顔を覗き込まれた。
「名前を呼んでくれ」
「……カイル殿下?」
「違う」
喉まで出かかった言葉は、すぐには声にならなかった。けれど──。
「カイル……っ」
名前を呼ぶと、彼はふっと目を細めた。嬉しそうで、それなのに今にも泣き出しそうだった。たかが名前ひとつで、そんな顔をしないでほしい。
(その顔は、反則よ……)
「……今だけ、ですからね」
言い訳するように、耳元で囁く。彼は応えるように、何度も口づけを落とした。そして、ゆっくりと腰を動かし始める。
私の反応を確かめるように、最初はゆっくり。次第に速く。腰がぶつかるたび、濡れた音がはっきりと響いた。
「もっとだ、ソフィア」
「カイル……あんっ……!」
足を絡め、シャツ越しの背中を強く抱きしめた。やがて、その腰が大きく、がくんと震えた。
「ソフィア……っ!」
最奥を強く穿たれ、全身に電気が走ったような衝撃が突き抜ける。続けて何度か脈打つ感覚が伝わり、そのたびに熱が内側へ広がっていく。私はたまらず、大きく身を震わせた。
そこはもう敏感になりすぎているのに、抉るように押しつけられて、たまらず背中を反らせた。
「あ、ちょっと待って……っ……今は……」
すると、彼の動きが止まる。
「もう少しだけいいか? ……今日は、抑えが効きそうにないんだ」
(……って、もう復活したの!?)
心の中でそう毒づきながらも、ふと見上げた先の瞳は、まるで飼い主におねだりするように、どこまでも健気だった。
(うっ……でも、そんな顔で迫られたら、断れないじゃない……っ)
つい、きゅんとしてしまい、そのまま背中をぎゅっと抱きしめ直した。
(これ、絶対少しですまないやつ……!)
ひより
5,350
#ロマンスファンタジー
百はな🍑
5,773
世羅 鈴🎨🎤
272,863
#主人公最強
伊織
41
コメント
1件
おお…第33話、めちゃくちゃ濃密やったわ… 普段はソフィアに翻弄されてたカイルが、ここにきて完全に主導権握ってて胸熱やった。でも彼の不器用さとか「お前を喜ばせたい」って必死さが滲んでて、キュンと来たわ。 ソフィアの「こんなの想定外」「私ばっかり余裕なくてムカつく」って内心のツッコミと、身体は正直に反応しちゃうギャップがめっちゃよかった。最後の「その顔は反則よ」で彼女も完全に堕ちた感じが伝わってきて、ニヤニヤが止まらんかったわ。 あと「絶対少しですまないやつ…!」で締めるの、めっちゃわかる(笑)。2人の関係性の変化が丁寧に描かれてて、読み応えあった!🔥