宇宙は地球上よりも案外、道に迷いずらいものだ。知っている天体を二、三見つけて、そこから現在地を割り出すのは難しいことではなかった。位置を正確に測りなおし、地図に修正データをあげればよいことを思いついた郷田の顔には、久しぶりの笑みが浮かんでいた。そのうち、どうして早くこのアイディアを思いつかなかったのかと自分自身を責めていた。よくよく調べてみれば案外、船はすでに地球のそばまで来ているかもしれない。これまでのワープの回数と距離幅、巡航速度と時間を思えば充分にあり得ることだった。観測室に入った彼は、宇宙地図を望遠鏡につなげ、祈りと共にその中を覗いた。船がアポロンへ向かっていれば、既知の星は多くなってくるはずだ。
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