地球時計で換算して、何日たったことだろう。それでも見覚えのない風景ばかりが続く。知っている星は、せいぜい奇妙な直線軌道を取る近郊の天体止まりだ。そんなはずはない。そう思うから探し、眠り、起き、また探すのだが、眼球の周りだけが窪んでいく。
埒があかない。ついに彼は方針を転換して、身近な天体の方をチェックすることにした。今いる位置がどういった規模と形の銀河の中なのか、手がかりくらいは見つけ出せるはずだ。そこから、属している銀河団がわかるだろう。宇宙地図のデータには、最先端の科学を駆使した、人類の知り得る限りの莫大なデータがあるから、アポロンとの正しい位置関係を割り出せるかもしれない。そこから正確な方角がわかれば、ワープを繰り返すことによって、少なくとも聖なる星に近づくことはできる。地球の側だって、こちらを探しているはずだ。救援ロケットを飛ばしてくれているかもしれない。
船はいくつもの惑星、恒星を追い越していった。望遠鏡の筒の中に、数え切れない数の星が登場する。なのに、どこにも手がかりらしいもの一つ掴めないのはどういうことか。ただ一つだけより明らかになっていったのは、遠くから近隣になるに従って、だんだんと星が円運動を拒否しはじめるということだった。
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