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日々は過ぎ、季節は春。
4月も半ばになっていた。
悠人は、私達が卒業した月城美容専門学校の講師として、しばらくの間、学校での勤務になった。
私がいた頃は、講師のアシスタントとして頑張っていた悠人。
今でもたまに講師をすることがあるみたいだけど、カリスマ美容師としての予約をこなしながら、かなりのハードスケジュールだ。
それでもやはり、一切弱音を吐かない。
そういうところが悠人らしくて尊敬できる。
それに、2人だけの時間は相変わらず私を大切にしてくれた。ただ話をしたり、たまに抱きしめてくれたり……ほっぺにキスをしたりして。
それ以上のことは、全然ない。
だけど、私は幸せだった。
そんな中、ある日突然、私を講師のアシスタントとして連れていくと言われた。前回は梨花さんが行ったらしく、急に私が抜擢されたせいで、お店の空気がおかしくなったのがわかった。
アシスタントは、悠人の技術を間近で見れて、改めて学べるチャンスでもある。だからみんなが悠人に指名されたい気持ちがあった。
なのに、私が選ばれ……
「穂乃果さん、良かったですね。アシスタントで月城美容専門学校に行けるようになって」
そう言ってくれたのは、輝くんだった。
歓迎会の夜のことは何もなかったみたいに、普通に話してくれてホッとしてる。あの時は、本当に元気がなかったから……
「ありがとう……でも、あまり自信なくて」
「どうしてですか? 穂乃果さんなら大丈夫ですよ」
私は、首を横に振りながら答えた。
「生徒からいろいろ聞かれるだろうし、悠人さんの実演のお手伝いも上手くできるか不安だし、緊張しちゃって……」
「でも、悠人さんは、穂乃果さんならできると信頼してお願いされたんですから。自信持って頑張って下さい。僕は応援してます!」
オシャレでカッコイイ輝くんに励まされ、少し救われた。
「輝くん! こっちお願い」
話してた私達を睨みつけ、威圧的に梨花さんが言った。
「すみません! すぐ行きます」
輝くんは、私に頭を下げて走っていった。
今から開店。
私も気合いを入れた。
今日は、午後から悠人が来る予定だ。
講師として学校に行くのは3日後だから、その準備も頑張ってる悠人。体調を心配はしているけど、顔色もよくて、毎日元気でいてくれることが嬉しい。
驚くけど、隙間を見つけてジムにも行ってる。
勢力的に動いてて、人間としても男性としても本当に魅力的な人だ。