テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
レーザードリフタースキビディトイレは、夜空を低く滑るように進んでいた。
都市はほぼ沈黙し、遠くで爆発音だけが断続的に響く。
「……まだ追ってきてる」
オリバーが後方を確認する。
「トゥループアストロ、数体」
イエロータイドカメラマンが即答した。
「距離、縮小中」
背後で閃光。
トゥループの砲撃だ。
レーザードリフターが旋回し、
フィーメールミュータントが即座に反撃。
光線が一体を撃ち落とす。
「しつこい」
「最初から消耗させる気だな」
スカルが歯を噛みしめる。
◆
進路の先、瓦礫の隙間に“異様な重さ”が見えた。
「止まれ」
イエロータイドの声が低くなる。
地面に深く食い込むように立つ、重装甲の個体。
インパクターアストロトイレ。
「正面突破は無理」
レーザードリフターは即断で進路を変更し、
建物の隙間へ滑り込む。
インパクターは動かない。
だが、その存在だけで空気を圧迫していた。
「……追ってこない?」
「違う」
フィーメールミュータントが言う。
「今は、私たちが優先じゃない」
◆
低い振動音。
次の瞬間、
巨大なスピーカーを背負った影が姿を現す。
スレッジハンマースピーカーマン。
合流の合図。
ハンマーが地面を叩き、
衝撃波が追撃してきたトゥループ数体を弾き飛ばす。
「助かった……」
オリバーが息を吐く。
「ラージテレビマンは?」
イエロータイドが通信を確認する。
数秒の沈黙。
「……すでに出発済みです。別ルートへ」
「入れ違いか」
◆
空気が、鋭く裂けた。
「上だ!!」
急降下してくる影。
インターセプターアストロトイレ。
速い。
これまでとは次元が違う。
回避。
だが追撃が追いつく。
警告音。
「タンク装甲、損傷!」
次の一撃で、保護装甲が砕け散る。
「次で終わる……!」
その瞬間――
空間が、黒く歪んだ。
◆
黒い煙。
機体のすぐ横に、突然湧き上がる。
「遅くなった」
ルビーだった。
彼女は迷いなく跳び、
インターセプターの側面へ取り付く。
タンク部へ手を伸ばす。
「――水洗」
タンクに接続されたレバーを、力任せに引き抜いた。
警告音が一斉に鳴る。
制御を失ったインターセプターは、
空中で姿勢を崩し――
そのまま真下へ墜落した。
爆音。
沈黙。
◆
「……終わった?」
スカルが呆然と呟く。
だがルビーは、すぐに周囲を見回した。
フィーメールミュータントの装甲、
スレッジハンマースピーカーマンの関節、
レーザードリフターの外装。
「……怪我してる」
「動ける」
フィーメールミュータントが言うが、
ルビーは首を振る。
「無理しないで」
彼女はオリバーとスカルにも目を向けた。
「あなたたちも」
「え?」
「一緒に行く」
黒い煙が、ゆっくりと広がる。
レーザードリフターの機体ごと、
全員を包み込む黒煙。
「行き先は?」
イエロータイドが問う。
「米軍基地」
即答だった。
次の瞬間、
煙はすっと消え――
その場には、誰も残らなかった。
◆
行き先は、米軍基地。
まだ誰も、
この合流が
“認識の衝突”を引き起こすとは知らない。
戦争は、
次の局面へ進もうとしていた。