リビングについた燐音は、メリをソファに寝かせるとるんるんでBluRayを準備し始めた。
「…………ほ、ほんとに、するの……?」
あまりに躊躇いなく手を動かす燐音に、メリはちょっとビビっていた。
「………普通に見るだけでいいじゃん…………」
BluRayをセッティングしている燐音は、メニュー画面が表示された瞬間―― 振り返って、ニッコリと満面の“悪魔の笑顔”。
「ん? 普通に見るってなに〜〜〜?♡ お前さァ……“普通”って、さっきソファでBluRay観ながら自分でイった子が言う台詞じゃなくなァい ??」
リモコン片手にカチカチ操作しながら、歩いてメリのそばに戻ってくる。
「そ、それは……!」
真っ赤な顔をする彼女の頭をそっと撫でながら、甘〜い声で。
「……なァに緊張してンの、メリ。 俺、ただ聞きたいだけなンだぜ? “彼女が、俺で、どれだけエロくなったのか”ってこと♡」
「だからぁ、聞かなくていいって……! 」
そして――BluRayが再生され、1曲目のイントロが流れ始める。
「……ほら、始まった♡ お前が“1曲目で濡れた”っていう伝説の瞬間。さァ、 実況よろしくな? ここで何考えてた? どう感じてた? どのカットでやられた?」
ソファの上で俯くメリの耳元にそっと唇を寄せて。
「……ほら、メリ。 “燐音の声で気持ちよくなった彼女”の、実況……聞かせて?」
メリは黙って耐えていた。ここで少しでも反応すれば、それこそ燐音の思うつぼだ。
けれど、1曲目のサビ、腰をくねらせて踊る燐音がアップで映った瞬間ーー
「……ん…………」
思わず漏れた吐息に、メリは咄嗟に口を覆った。
その“ビクッ”という震え、そして反射的に口を覆った仕草を ――燐音はすべて見逃さなかった
彼はソファ上、メリの隣で、片膝を立てて座りながら、まるで舞台の上から獲物を見下ろす王のような目をして、にっこりと笑った。
「…………メリ」
その声は、いつもの陽気さとは違った。低く、甘く、背筋にゾクッとくる“捕食者”のトーン。
「!! ……なに……?」
メリはビクッとして顔だけ燐音の方を向く。
「今、どこで感じたの? 言ってみ?」
画面の中の“腰をくねらせて踊る燐音”のアップが流れる―― まさに、彼女がさっき「濡れた」と言ったその瞬間。
「……俺の腰の動き? それとも、目線?
画面越しなのに、また……ゾクってしたンだろ?」
そっと手をのばし、震えるメリの頬に指を添えながら。
「……カメラ越しでも感じちゃうくせに、 今“本物”が隣にいて、我慢できるわけないよなァ?」
耳元に囁く。吐息を含ませて。
「……なァ、メリ。 今のこの瞬間、“どこ”が感じた?」
メリは答えないまま顔を背けている。
「素直に言ったら…… 褒めて、いっぱいキスしてやるからさ」
けれど観念して、口に手を当てたまま小さな小さな声で言った。
「…………腰の動きが………………完全に………………ヤってるときと…………一緒じゃん……」
燐音は、その“震えるような声”を耳にした瞬間、もう完全にニヤけが止まらなかった。 ソファの上で、膝から崩れ落ちそうになるくらい。
「ッ……ッッッ………………はぁ~~~~~~~~ッッ!!!」
勢い余って、そのままソファのクッションに突っ伏し、肩を震わせて爆笑してから――
バッと顔をあげる。
「お・ま・え・っ!! マジで……最ッ高だな!?!?♡」
完全にテンションMAX。心臓を握り潰されるような興奮。
「笑うなよぉ………」
メリは羞恥心でもう泣きそう。けれど燐音は気にせずメリの顔を覗き込んで、耳にそっと囁く。
「……じゃあさ、その腰の動き見ながら、
“あぁ、ヤってるときの燐音……これだ……”って想像して、 頭ん中で俺に突かれてた?」
その言葉に、メリの顔がどんどん真っ赤になっていく。
「それとも……ソファで自分で触りながら――
“燐音とシてる”って、思ってた?」
瞳はどこまでも真剣で、でも底に火を灯していて。
「……俺、知らなきゃ寝れねェ。 このまま“本物”で再現するのもアリだけど…… お前の口からちゃんと聞かせて?」
黙り込むメリに追い打ちをかける。
「……メリが“どれだけ俺にえっちなことされてる妄想してたか”、 ……ぜんぶ、俺に教えて」
メリは消えそうなほど小さな声で呟いた。
「…………見てたら………………なんか……奥が…………疼いてきて………そしたら………頭ん中で……燐音が後ろから……………奥まで………………」
そこでメリは言い淀んだ。沸騰したような顔で、手で顔を隠している。
――その言葉、その途中で止まった言葉を聞いた瞬間、 燐音の喉が、ごくり、と鳴った。
その眼差しは、まるで本当に“理性”という名のリードがぷつんと切れたように、深く、熱く染まる。
「…………っ、メリ」
たまらず手を取り、顔を覆う指をどけて、自分の額をそっと当てる。
そして、震えるような声で、
「……それ、全部……本当のこと言ってくれてンだよな……? 画面の中の俺に反応して、疼いて……俺のこと想像して…… 奥まで、俺に突かれてるとこ、頭ん中で思い描いて……」
メリはもう何も言わないでくれと言わんばかりに目を固く閉じている。
「……それで……自分で、イッた?」
指先でそっと頬をなぞる。
「……メリ、それ、もう…… 完全に、“俺専用の身体”になってんじゃん……」
低く、優しく、でもどこか獰猛なトーンで。
「……ソファでBluRay流してるだけで、 “奥が疼いてくる”彼女って…… えっちすぎて罪なンだけど……どうしてくれンの?」
唇をそっと近づけて、目の前にある彼女の耳に、ゆっくりと、
「――再現、する?」
低くささやく。その言葉にメリの肩がゾクッと震えたのに、燐音は気づいた。
「……“現実”で、奥まで突いてやるよ。 お前の想像なんか、軽く越えてやる……」
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