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教室リーグ~底辺モブ生徒が分析スカウターで超名門校の序列をぶっつぶす~
第32話 - 第32話 牙城崩壊のカウントダウン!女王にロックオンされた観測者と、茶室で暴かれた禁断の予想問題集
16
1,805文字
2026年05月10日
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れいとうみかん
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32-1◆女王の最初の疑念◆
結城を懐柔した翌朝の教室。
俺は、自分の席で静かに本を読んでいた。
だが俺の意識は、教室全体へと張り巡らされている。
俺が仕掛けた三つの罠。
その効果を、観測するために。
休み時間。
柴田が俺の席の近くを、通り過ぎる。
彼は一瞬だけ、俺を見るとニヤリと笑い、小さく片目を瞑ってみせた。
それは、新しい共犯者への合図のようだった。
その数分後。
今度は斎藤律が、俺の席の横で足を止めた。
彼は、何も言わない。
ただポケットから、取り出した缶のドリンクを、俺の机に置いただけだ。
それは見たこともない海外製の高級なエナジードリンクだった。
そして彼は、俺にだけ聞こえる声で、静かにこう言った。
「お前のシステム。面白い。見れば見るほど、適格だと予測できる」
「ベータテスト。最後まで、やりきってやる」
彼はそれだけを言うと自分の席へと戻っていった。
俺は目の前のエナジードリンクを無表情で見つめる。
(なるほどな。これが合理主義者のお前なりの「礼」であり「契約続行」の意思表示か)
そして結城。
彼女は一日中、俺と決して目を合わせようとしなかった。
だがその態度の裏にある感情を、俺のスカウターは見逃さない。
【感情:罪悪感(60%) 安堵(40%)】
三者三様の反応。
俺の脚本は、完璧に進行している。
だがその時だった。
俺は一つの視線に気づいた。
教室の玉座から、向けられる冷たい視線。
久条亜里沙だ。彼女は笑顔だった。
しかし俺はカーストスカウターで彼女の思考の表層をスキャンする。
【Target: 久条亜里沙】
【思考プロセス:パターン分析中】
【検知:”想定外の変数(音無 奏)”が自軍の幹部(柴田、斎藤、結城)の行動パターンに微弱な影響を与えている可能性。原因を特定せよ】
(気づかれたか。さすがだ。早いな)
俺は内心で、舌打ちする。
(しかし女王陛下よ、俺の練り込まれた脚本の秀逸さに、いずれあんたは気付くはずだ)
俺と彼女の本当の戦争は、静かに始まっっていた。
32-2◆女王の尋問、そして最初の違和感◆
その日の放課後。
茶道部室『祥雲庵』。
久条亜里沙は、その玉座で、静かにお茶を点てていた。
その前に座るのは彼女の側近、結城莉奈ではない。
莉奈の取り巻きである美尾敦子と福寿由紀乃だった。
女王から直接、呼び出されたのは、当然二人にとって初めてのことだ。
二人は極度の緊張で、顔を強張らせている。
莉奈本人には、この呼び出しのことは知らされていない。
「二人とも、いつも莉奈と仲良くしてくれてありがとう」
久条は完璧な笑顔で、二人に茶器を差し出す。
「あなたたちのような友達が莉奈にいてくれて、私も安心だわ」
そのあまりにも優雅な物腰に、二人の緊張が僅かに解ける。
久条は、その一瞬の隙を見逃さなかった。
「でも今日、莉奈の様子が、少しおかしかった気がするの」
彼女の声は心から親友を心配する響きを持っていた。
「何か悩みでもあるのかしら。あなたたち、何か知らない?」
しかし、その瞳は笑っていない。
氷のように冷たいその瞳が、二人の魂の奥底まで見透かしている。
女王からの、その直接の問い。
美尾と福寿のような一般女子生徒が、それに嘘を突き通せるはずがない。
二人は顔を見合わせ、そして恐怖のあまり、全てを白状した。
昨日、屋上で音無 奏が現れたこと。
彼が莉奈のダンスの才能と、その悩みを的確に言い当てたこと。
そして最後に彼が、莉奈に謎の「予想問題集」を手渡したこと。
久条は全ての報告を、静かに聞く。
「あなたたち、今日、ここでの私との会話、誰にも口外しないことよ」
美尾「も、もちろんです。久条さん」
久条の表情は、変わらない。
(音無 奏)
(またあの男)
(柴田くんも、斎藤くんも、そして莉奈まで。私の仲間たちが、全てあの男に懐柔されている)
彼女は確信する。
自分の完璧な王国に内側から、亀裂が入れられているという事実に。
そしてその亀裂を入れているのが、ちっぽけな石ころだと馬鹿にしていた存在。
だが不思議と彼女の思考は、怒りではなかった。
なぜ自らの感情が怒りへ向かわないのか?
彼女自身も、まだ理解できていなかった。
全ての報告を聞き終えた久条は、優しく口を開いた。
「そう。良かったじゃない。これであなたたちも莉奈も、天宮くんと同じ大学に行けるかもね」
福寿「いえ 久条さん、私たちがそんな、おこがましい」
「その音無 奏という男。少し興味が出てきたわ。一度、私がお茶にでも誘ってみましょうか」