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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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 ニキニキとセフレになってからしばらくが経った。俺らの関係は周りには秘密にしている。でも、俺とニキニキの雰囲気が変わっているようで、なんとなく探られてるような気がした。

「なぁ…りぃちょ、お前らなんかあったんか?」

「んー?なんのこと?」

「最近お前とニキ、距離近いやろ?」

「そう……かな?変わってないかなって」

「いや…なんか……まぁいいか」

 せんせーは気づくよなぁ……。ニキニキとの距離感が近いのと…ニキニキの想い人。それと多分、せんせーもニキニキのことが好き……。俺を抱きながら、せんせーのことを考えているニキニキを見ているのが辛くなってきていた。あと、せんせーへ意地悪をしたくなる気持ちも強くなっていた。

「せんせーこそさ」

「なんや?」

「好きだって言わないの?」

「……なんのことや?」

「ニキニキのこと……好きなんでしょ?」

せんせーが息を飲むのがわかった。そんなんだから俺にバレるのに…。せんせーは案外単純だった。

「早くしないと……俺がとっちゃうよww」

「……どういう意味や?」

「そのまんまだけどw」

「っ……何する気や……」

「ナニかなぁww」

「ふざけんなや……」

「ふざけてないよ?気持ちすら伝えないやつに言われたくないしね……」

 想われてるくせに行動しようとしないせんせーに少し苛立ちを感じていた。俺につっかかってくるくせに、ニキニキに言う勇気はない。せんせーに俺とニキニキの関係を話したらどうなるんだろうなって悪戯心が湧いてきた。でもきっと、言ったらニキニキに嫌わる…嫌われるのは嫌だ……。だからせんせーを突っつくだけで辞めておこう。

「とりあえずさ、グズグズしてんなら、俺がニキニキ貰っちゃうから」

 覚悟しといてねとせんせーに囁いて俺はニキニキたちの方にむかった。ニキニキはキャメさんとなにやらコソコソと話をしていた。俺が近づくと、キャメさんは気まずそうに顔を逸らし、離れていった。

「何の話?」

「ん?あーキャメさん好きな人いてね……」

「へぇ…キャメさんが……なんか意外」

「その人の様子がおかしいって相談」

「へぇ、ニキニキの知ってる人なんだ」

「まぁ……そうだね……」

 ニキニキの様子もおかしかった。俺から目を逸らして落ち着かない様子だった。そして近づく俺から少し離れ、ため息をついた。

「りぃちょ、俺らの関係終わりにしようか」

「え?なんで……」

「俺さ、ボビーに告ろうかなって」

「やっぱせんせーだったんだ……」

「気づかれてたか……」

 困ったように照れて笑うニキニキが眩しかった。優しくて温かい笑顔。それをさせているのがせんせーだというのが気に入らなかった。腹が立った俺は、ニキニキとの距離を一気に詰めて、口付けをした。

「んっ……やめっ……」

「チュクッ……クチュクチュレロレロ」

「んんんっ……はぁ…」

「んっ……はぁ…はぁ……」

 口を離し、ニキニキを見つめると少し睨まれた。でもそんなのを気にせず、キスで固くなり始めた自分自身を擦り付けた。それに、ビクッと反応するニキニキに俺は少し嬉しくなった。

「ねぇ……いいじゃん……やろうよ……」

「やめ……」

「お前ら……なにしとんのや……」

 後ろから聞こえてきたせんせーの声に、俺はニヤッと笑って振り返った。ニキニキは、動けず固まっていたからそのまま放置だ。

「なにって?さっき言ったじゃん」

「は?」

「せんせーが動かないならとっちゃうよって」

「お前……あれ本気で……」

「本気だけど?今、誘惑してるとこ♡」

「っ……」

 唇を強く噛んで俺を睨んでくるせんせー。俺はそれを見て卑屈に笑った。まだ動けないニキニキの頬に手を添えて、俺はニキニキに向かってにっこり笑った。

「ね、俺にしとこうよ……♡いっぱいエッチしてあげるからさ♡♡ 」

「っ……りぃちょ……離れろ……」

「……なんで?なんで俺じゃダメなの?」

「俺は……」

「はっきりいってよ!!」

 煮え切らないニキニキにイラついてきていた。同時に涙が溢れて止まらなくなっていた。そんな俺の事を、悲しい目で見つめてくるニキニキ。そんな目で見ないで欲しかった。いつもみたいにからかって欲しかった。そのくらい軽い関係だったらよかったのに……。

「ごめんな…お前を利用した」

「っ……理由いってよ……」

「ボビーが好きなんだ。だからお前を選べない」

「…………だってさ、せんせー?」

 俺の後ろで呆然と見ていたせんせーの方を振り返りながら、俺は笑った。涙でぐちゃぐちゃの顔で、無理やり笑った。きっとブサイクだったと思う。でも、笑わないといけない気がしてた。

「りぃちょ……お前……」

 そう呟いたせんせーは、何かを察したのか俺の事を優しく抱きしめてくれた。今優しくなんてして欲しくなかった。いっそ嫌ってくれたら……俺の事をなじってくれたらよかったのに……。

「俺…ごめんな…いちばん辛いのりぃちょやんな」

「……なんのことさ……」

「言うてへんのやろ?せやったら俺も言わん」

「……お礼なんて言わないから……」

「えぇで。お前がいつも通りのイキリ小僧に戻ってくれたらなんでもえぇ」

「なんだよそれwばかにしてんの?w」

 そっと身体を離してせんせーの顔を見ると、泣きそうな顔をしていた。俺が全部悪いんだもんな……。俺はそう呟くと、トンっとせんせーの胸を押してニキニキの方へ倒した。それをニキニキはしっかりと抱きとめ、俺に驚いた顔を見せた。

「お前らさ、両思いなんだからさっさとくっつけよ」 

「え?」

「そうしないと俺が惨めじゃん」 

 俺のためにも幸せになってよ…。聞こえるか聞こえないか位の小さな声で言った。そして、流しっぱなしだった涙を服の袖で拭って、最高の笑顔をふたりへ向けた。

「さ、2人とも気持ちを確かめあって!」

「いや……」

「で、イチャイチャしてよ。そうしないと報われない」

 だから、2人とも笑って?俺はそれだけ呟いてから踵を返した。今、俺はきっと酷い顔をしている。涙をこらえて無理やり笑った顔。出来れば2人には見られたくなかった。俺も結構本気だったんだけどな……。このつぶやきはきっと2人には聞こえていない。

曇り空から覗く陽の光

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