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 2人がいた部屋から出て、扉を閉めると俺はその場でしゃがみ込んだ。涙が次から次へと溢れてきて止まらない。その涙の分だけ、俺はニキニキのことが大好きだったんだろう。そんな自分が可愛そうで、ギュッと自分を抱きしめるように腕を回した。

  服を掴んでいる指の関節はきっと白くなってしまっていただろう。それほど強く握りしめていた。

「りぃちょくん……大丈夫?」

「…キャメ……さん」

 声を殺して泣いていた俺の肩に優しく手を置かれた。そして、俺をそっと抱き上げてその場から離してくれた。

「ありがと……」

「いいえ」

 何も話さないでいてくれるのが助かった。そっと目を閉じてキャメさんの胸に耳を当てた。トクントクンと思ったよりも早い鼓動が聞こえてきて、少し笑った。

「もしかして、緊張してる?ww」

「そりゃ……ね。目の前で好きな子が泣いてたら動揺もするし、抱っこしてたら緊張もするよ」

「え?」

 キャメさんの言葉に驚いて間抜けな声を出す俺に、キャメさんは小さく笑った。そして優しい顔でこちらを見つめてくれていた。途端に恥ずかしくなった俺は、目を逸らして少し俯いた。

「ニキくんから聞いたよ」

「なにを?」

「これまでのこと…ニキくんとの関係も」

「ぁ…そう…なんだ……軽蔑する?」

 不安げに俺が言うと、キャメさんは少し考えてから緩く頭を横に振った。

「いや…だって、好きだったんでしょ?」

「え?」

「ニキくんのこと…だから頑張ったんでしょ?」

 キャメさんは言わなくても分かってくれていた。それが何より嬉しくて、止まっていたはずの涙がまた溢れてきた。

「くっ……ふ……うぅ……」

「辛かったね…頑張ったね……」

「うん……俺、振り向いて欲しくて……でも……」

「うん……ヨシヨシ……」

「振られちゃったよぉぉぉ」

「ヨシヨシ……」

 泣きわめく俺をひたすらなだめてくれるキャメさん。俺の部屋についてからも抱っこし続けてくれていた。ひとしきり泣いて、落ち着いてきた頃キャメさんの方をむいた。

「ねぇ……怒らないの?」

「なにを?」

「俺が、ニキニキと関係持ってたこと……」

「あー」

 キャメさんはそこで言葉を止めて天上を仰いだ。そして何かを考えて、まとまったのかジーッと俺を見つめてきていた。

「面白くはないよ?ニキくんに触られてたなんて」

「ぁ…なんか……ごめん」

「でもね、なりふり構わず突き進んでくとこ……好きだよ?」

「ぁ……」

 最後のところに甘い響きを混ぜて艶美な笑みを浮かべるキャメさんに少しドキドキした。そんな俺を見て、キャメさんは小さく笑った。

「クスクス…ドキドキしてくれた?」

「そりゃ…ね……。その顔ずるいよ…」

「だって、俺にとってはチャンスだからねぇ」

「なんの?」

「傷心のりぃちょくんをものにできるチャンス……」

 そういうが早いか、キャメさんは俺の顎を掴んでそっと上を向かせた。至近距離にあるキャメさんの顔に、心臓が壊れるんじゃないかっていうくらい鼓動が早くなった。目が、俺を求めていた。キスをして抱きたい。めちゃくちゃにしたいっていう感情を隠すことの無い、真っ直ぐな瞳。言われてることは結構クズなんだけど、でもすごくドキドキしたし、後ろも疼き出していた。

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