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深夜。外は真っ暗で肌寒い。
リビングの電気を眩しいくらい付ける。
きんときの耳は赤くなっており、銀色の光を放っている。
初めて、穴を開けた。
「怖い?」
きんときはシャークんに聞いてみた。
きんときの手には、昼間に買ったピアッサーが握られている。
「ちょっとだけ」
そう強がっている。
きんときは自分でサクッと開けたが、シャークんは手が震えて開けれなかった。
代わりに開けてあげるきんとき。
「大丈夫だよ」
安心させるように囁くきんとき。
ほんの少しの痛みだが、穴を開けるという初めての行為に緊張感が走る。
「ほんとに?」
囁かれても、照れる様子すらない。
それほど緊張してるのだろう。
「一瞬だから」
シャークんの耳朶を優しく掴み、ピアッサーとマーキングの位置を合わせる。
「信じるからなその言葉」
声を震わせながら、きんときの肩に手を置く。目を瞑り、覚悟を決める。
そしてきんときは勢いよくピアッサーを押す。
パチン、と部屋に鳴り響く。
「はい、終わったよ」
呆気なく終わる。痛みはほぼ無い。
ピアッサーが耳朶から離れる。
透明なプラスチックが落ちる。
「信じてよかったかも」
心の底から安心しきった声を出す。
「でしょ?」
何故か自慢げだったきんとき。
お揃いのピアスがふたりの心の距離を縮めた。