<甘い飴の味は優しさの味>
2024-12-08
「……どこ?」
気づけば、後ろは真っ暗闇で。そっちから来たはずなのに、道なんて見えなくて。何でだろう、と思うより、わたしは恐怖しか感じられなくて。
「…ししょー、?みんな、?」
誰の名前を呼んでも、返事は無い。それが余計に怖くて、泣きそうになる。
「…おや?こんな所に子供がいるなんて、珍しいですね。迷子ですか?」
ふと声がして、そっちを見ると、背の高い男の人がいた。びっくりしたけれど、それ以上にこの人は誰なんだろうという疑問が浮かんだ。
「あぁ、紹介が送れました。私は_」
名前を教えてくれたその人_”カラスさん”は、そのあと、たくさんお話をしてくれた。
わたしが怖がらないようにと、飴までくれた。食べてはいけない、危ないと思った。でも優しい雰囲気をしたこの人がくれるものだから、きっと大丈夫だと思った。食べてみると、それは甘い味がして、美味しかった。
「…ねぇ、わたしは戻れるの?」
少し怖くなって、カラスさんに聞いてみた。
「…はい。ちゃんと戻れますよ。今は、貴方が戻る為に、ある所に向かっているんです。」
でもカラスさんは笑って、大丈夫って言った。だから私も安心して、このまま着いていけばきっと戻れるって信じてた。
「……また、会える?わたしが帰っても、いつかまた___と会える?」
親切にしてくれたカラスさんと離れるのが少しさびしくて、そう聞いた。
「…えぇ。貴方がここに来て、私と会いたいと願うなら、きっとまた会えますよ。」
その答えが嬉しくて、なら別れてもさびしくないなって思った。
「…着きました。今から貴方に転移魔法を掛けます。目が覚めたら、元の世界に帰っていますよ。――大丈夫です。またいつか会えますから。」
広い部屋の真ん中に立つと、わたしが立っているところに、大きい魔法陣が出てきて、きらきらが降ってくる。その紫色のおおきな魔法陣と降ってくるきらきらはとってもきれいだった。
「……ばいばい、___。」
その言葉を最後に、わたしは”カラスさん”にばいばいした。
第三章 : いつかの世界へ fin.
NEXT : 第4章 START
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