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阿部ちゃん!ぎゅー
阿部は朝起きるとまず2枚の写真を見る。幸せな気分になる。
毎朝、しばらくは写真を眺めてから、動き出す。
こうすることで1日楽しく仕事が出来るのだ。
ある朝、いつものように写真を見ていた。
向井のカメラを見て笑ってるはずの写真。
目黒の目線が少し違う。
この写真は、目黒が何かを見ていた後だ。
目線を戻した時のものだ。
何があった?
向井の後ろに何が見えた?
「翔太」だ。岩の上に上っていた。
阿部の目から涙が出て来た。
阿部ーめめ、翔太を見ていたの?
渡辺は遠く海を見ていた。
阿部や目黒を見てはいない。
そんな渡辺を見て笑っていた目黒。
友達なんだ。
1番の仲良しの友達。
このパネルの普通サイズの写真を目黒は持っている。
聞いてみようか?
撮影が終わって帰ってくる頃、阿部は目黒に電話した。
阿部ーお疲れ様。
目黒ー阿部ちゃんもお疲れ様。
阿部ーこの間、康二に写真撮ってもらったでしょ?
目黒ーん。
阿部ー康二のカメラ見て笑ってる写真、めめは翔太を見てた。
目黒ーカメラ見てるよ?
阿部ー翔太を見て目線を戻して撮った写真だもん。
目黒ーよく分かったね。
阿部ー毎朝見てるから分かった。
目黒ーどうしたいの?
阿部ーカメラは見てるんだ。
目黒ー康二の合図で、ちゃんとカメラ見たよ?
阿部ーごめん、ヤキモチ。
目黒ーちゃんと阿部ちゃんが好きだよ?翔太くんは友達。
阿部ーん、分かってる。
目黒ー分かってくれる?
阿部ーん、ごめんね。いつも同じこと言ってる。
電話を切って、阿部は少し泣いた。
いつまでも渡辺を気にしていると、その内目黒に呆れられるんじゃないかと思う。
仲良しの友達の片方を好きになったのは自分。
そのために友達関係を変えて欲しいとは言えない。
それでも、阿部はパネルを外した。
寝室に置いておくが、裏向けている。