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暑さが残る10月。
勉強の一休みにと1階に降り、水を飲んだ。さゆりは相変わらず「好きなアイドルが出るから」なんてウキウキでテレビを見ている。
「公一」
冷蔵庫前にいた俺の近くにいた母が、
「これ、知り合いの農家さんから頂いたのよ!熟しすぎてるからって」
母は、ダンボールの中を指差した。
中を見ると、
大量のバナナ。
生まれて見た事もない絵面に驚気を隠せなかった。
「そうなのよ〜食べ切れるかしら、あっ、そうだ双一にもって行ってくれない?」
ちょうど自分も2階に行くところだったので素直に応じた。
真っ暗な2階の廊下から、双一のブツブツ言う声が聞こえる。また人形と話しているのだろうか。
「双一」
そう言って軽くノックをし扉を開けた。
案の定、双一は人形と向かい合って何かブツブツ言っている。
「……公一か…………何か用かよ」
「バナナ持ってきたぞ、知り合いから貰って食べきれないからって」
ずいっと2本のバナナを差し出した。
「………俺は2本も食べれんぞ」
「一緒に食べよう」
「「……………………」」
長い沈黙が続いた後、双一が口を開いた。
「はぁ?」