本作品には、強姦、殺し、暴力などのキツイ表現があります。
人にとってはガチ不愉快になるかもです。
愛のない(?)士玲前提乙玲です。
時間軸は適性試験のときです。
リア友から貰ったお題タイトル、『廃と癒えない君』を元にした作品です。ありがとうリア友。
まじで少量ですが烏玲成分があります。
メリーバッドエンドです。
ツウホウヤメテ……ヤメテ……
『廃』
古くなって役に立たなくなる、すたれる。すてること。やめること。
小学生の頃に辞典で調べた言葉、そんなもの、俺の人生には無縁だと思ってた。
けれど、今の彼には、その言葉がぴったりだ。
いや、厳密には『捨てられた』なのだが。
⋯多分、一目惚れのようなものだったんだと思う。
無意識に目で追っていたし、ふとした時に思い出して、体が熱くなるのを感じていた。
適応試験のメンバー発表の時、あの子に選ばれていいなって思ったりもした。
適応試験三日目になると、夜にあの悪魔がご機嫌そうに部屋を出ていった。
その次の日も、また次の日も、夜になればルンルン気分でどこかに行く。
それと同時期くらいから、あの子の笑顔が少なくなった気がする。
不思議に思って、悪魔の後をつけてみることにした。
もちろん誰にも言わずに。
隠密行動は忍者の得意技だ。
今にして思えば、この選択は後悔しかない。好奇心になんが従わなければよかった。
しばらくすれば目的地に着いたようで、悪魔は足を止め、ある部屋に入る。
そこは、もう使われていないであろう倉庫だった。
よくこんなところ見つけるな、と少し関心しながら、バレないようにドアの隙間から様子を覗く。
その瞬間、グラリと世界が揺れたように感じた。
ドアの隙間から見える景色も、壁越しに聞こえる声も、全部全部、夢なら良かったのに。
吐きそうだった、その場から動けなかった。
嗚咽を繰り返し、何度もかすれた声で、助けてと、あの子は言っているのに助けられない。
頭のどこかで、彼は快感を感じていて、プレイの一環で言っているだけではないのかと。そう思ってしまう。
ガリッと肉をを噛むような音がしたが、もう怖くて覗けない。
……
しばらくすると、倉庫のドアを開け、スッキリしたように悪魔が顔を出す。
こちらに気づくと、ニヤリと笑い、口を開く。
「覗き?いい趣味してんじゃん、忍者野郎」
「お前に言われたかねぇよ、クソ悪魔、気づいてたくせに。」
お互いの威嚇が終われば悪魔はそのまま、気分良さそうに部屋に戻る。
開けっ放しのドアの向こうにはぐったりとして虚ろな目をしたあの子がいる。
ヤり捨てかよ、クズが、怒りがふつふつと湧いてくる。
部屋に戻ったら殴ってやろうかな。
行為中は、もしかしたらと思ったが、きっと強姦まがいのものだったのだろう。
⋯一歩、また一歩とあの子に近づく。
目と鼻の先まで顔を近づけると、やっと虚ろな目がこちらを捉えれる。
驚いたように口をハクハクと開けたり閉じたりする。
「なん、、で、」
そう言ったかと思えば、すぐに、バツが悪そうにふいっと、顔をそむける。
「軽蔑したか?」
今にも泣きだしそうな声だった、フルフルと体が小刻みに揺れているのがわかる。
はやく、救わなきゃね。
「そんなことない、どんなお前でも、好きだよ。」
「⋯あはっ、なんだそれ、」
一瞬ぽかんとしていたが、すぐに笑顔になる、やっぱり、かわいい。
⋯ねぇ
君の心は癒せないけれど、一緒に廃になることはできるから。
一緒に堕ちることはできるから。
あの子の首に手をかければ、首が締まる音がする。
バタバタと抜け出そうとする姿がどうにも愛しかった。
必死に呼吸しようとしてもできなくて、カヒュッと喉が鳴るのが可愛かった。
反射ででてきた涙は宝石のようにキラキラと光る。
少しすれば、抵抗はなくなる。
俺の手首を離そうと掴んでいた手は、俺の頬におかれる。
微笑み、口を動かす。
『ありがとう』
声は出ていなかったけれど、わかった。
これも恋の力ってやつなのかな?。
念の為、五分ほど締め続ければ、身体は氷のように冷たくなる。
頭、次に額、そして唇にキスを落とせば、冷たかったそこが、すこしあたたかくなる。
すやすやと眠ってしまったように、目を瞑るその姿はまるで天使のようだ。
首にははっきりと手形が残っている。
白い肌に赤い痕が目立っているから、わかりやすくて、少しだけ嬉しかった。
手形をなぞって、また首にキスをする。
先程のキスよりも、長くする。
唇を離しても、痕が残ることはなかった。
印くらいつけさせてくれてもいいのに、意地悪だね。
カンッとなにかが器具に当たる音がする。
振り返ると見慣れたツンツン頭の黒髪と水色髪が立っているのがわかる。
「お前、何しとんねん⋯」
「乙夜くん⋯嘘やんな⋯?」
いったいどこから見ていたのかはわからないけれど、信じられないものを見るように、目を見開いている姿がどうにも愉快で、滑稽で、思わず笑みがこぼれる。もう遅いのにな。
困惑はすぐに怒りに変わる。
急にガンッと頭に強い衝撃ががかかる。
殴られたのだろう、般若の面をつけたように怒りに満ちた黒い瞳がこちらを見下ろす。
烏は馬乗りになり、俺の顔面を殴り続ける。
⋯なんだ、お前もあの子が好きだったのか、お揃いだな。
「止まれ!!!アホ烏!!そのままじゃ乙夜くんが死んでまう!!」
「こいつは玲王を強姦して殺したんやぞ!!」
たしかに殺したのは俺だけど、強姦は冤罪だぞ。
「だからって⋯!!」
騒ぎを聞きつけた人が続々と集まってくる。
そこら辺にバールもあるだろうに、わざわざ素手で殴って、優しいな、烏は。
生きてる間のハジメテはもらえなくても、死ぬ前のハジメテはもらえたのだから。
俺は満足だ。
拝啓、廃になってしまった俺へ。
敬具、もう二度と癒えなくなった君へ。
愛してる
コメント
2件
珍しいペアだなぁって思って見てみたら最高でした︎💕︎こういうのめっちゃ好きなので見ててドキドキしました!!