テラーノベル
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【🐈】「……なあ、ARKHE。ほんまに、なんも知らんの?」
会議室に響いたのは、うるみやの静かな声だった。
揺らめくホログラムの光に照らされた部屋。
中央には、コードタワー爆破の監視記録が映し出されていた。
そこに映っているのは——まぎれもなく、僕だった。
機械を操作し、呪文を展開し、塔の中枢へアクセスしている“僕”。
だけど、それは僕じゃない。
【🐈】「これ、どう考えても……ARKHEやん……。認識コードも一致しとるし」
【🍏】「合成データの可能性は?」
とかなめが言う。
けれど、しのが即座に否定した。
【⛓】「ない。識別子も、記録の波形も本物とズレてない。下手な偽造じゃ説明できないよ、これ」
何も言えなかった。
何を言っても、“証拠”はすべて僕を指している。
誰かが嘘をついているとしても、それは僕にしか見えない存在——
“もうひとりのARKHE”だ。
【✦¿?】『裏切られた気分って、どんな感じ?』
また、耳の奥で声がした。
誰にも聞こえない、僕の脳内だけに響く笑い声。
【✦¿?】『きみが苦しむほど、ボクは本物になるんだ』
頭が割れそうだった。
声を出したいのに、喉が凍りついたみたいに動かない。
【🧷】「あるちゃん、なんか言ってくれない?」
れむが、僕を見ていた。
どこか、迷いを含んだ優しさで。
でもその瞳の奥に、確かに「疑念」があった。
【✦】「俺は……やってない」
それだけが、やっとのことで出た言葉だった。
【🐧】「俺は、お前を信じたい。でも——」
しゃるろは静かに言う。
【🐧】「信じられるだけの理由が、今の“お前”にはないんだ」
信じたかった。
この中の誰か一人でも、何も問わずに味方でいてくれると。
でも現実は、誰もが少しずつ距離を置いていく。
【🐈】「……ほんま、怖いなあ」
うるみやが笑った。けれど、その笑顔にいつもの柔らかさはなかった。
【🐈】「味方のふりして、影で全部壊してたんやとしたら——お前、いったい何考えてるん?」
《ログ更新:ARKHEのIDが第7層にも出現》
《複数箇所への同時ログイン:不正アクセス確定》
その瞬間、警報が鳴り響いた。
誰かが叫ぶ。「ARKHE、武装を解け!」
しのが毒コードを展開し、しゃるろが凍結プログラムを走らせる。
僕は
”逃げるしかなかった”
“俺じゃない”のに
でも、“俺”が消されようとしている。
誰も気づいていない。
あの影は、
俺を壊すために
“俺のフリ”
をしているってことに。
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