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仮面の向こうで

4 - 第4話

♥

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2025年06月14日

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一週間後

スマホには一件の通知



差し出し人は白鬼のマネージャー。

添えられたメッセージは簡潔で事務的なやり取りのようなものだった。




━ご依頼頂いた楽曲の歌詞と仮歌になります

ご確認のほどよろしくお願いします



僕は静かにイヤホンを取り出しファイルを再生した。





流れてきたのは、何処か鋭く、そして熱のこもった歌だった。

仮歌とは思えないほど感情が乗って満ちていた



自然と手が止まる。


曲調は何処か寂しげで、まるで語りかけているようなもの。



「あの人に似てる気がする…。」




僕は無意識のうちに再生ボタンを押し直した。

そしてもう一度。

3度目には、目を閉じていた。




「勢いがある……けど、それだけじゃない

  胸の奥でざらりと撫でられるような感覚。

  感情をぶつけるような強さと、

  それを包むような繊細さが共存している。」

曲の最後、微かに入ったブレスの癖に心臓が跳ねた。初めてじゃないこの感覚。何処か聞いて、感じたことあるような……。








リピート再生はもう十回ほ超えている。

白鬼が送ってきた楽曲ファイル――そのひとつの曲に僕は聞き惚れていた。




最初はただ、勢いのある楽曲だと思っていた。

シンプルなビートに、飾らないコード進行。

けれど何度聞いても、そのシンプルさの中に

過ごせない”手癖”があった。



その呼吸の仕方が――懐かしかった。



歌声も確かに引っかかっていた。それよりも今は、曲の作りがぼくの記憶を刺激していた。


白鬼が誰かは分からない

けれどこの曲には、「過去を知る誰か」の手が入っている。



「なんだろう、この親近感」

僕はギターを抱えて、無意識にメロディーをなぞった。指がかってに動くのはその曲が”知らない曲”ではないこと。


その音に触れる度、胸の奥に眠っていた記憶が、じんわりと目覚めようとしていた。


この作品はいかがでしたか?

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コメント

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ユーザー

ありがとうございます! こんなにも速くコメントしてくれて嬉しいです!!励みになります!

ユーザー

記憶よ…目覚めてくれ…! 最高でした、文章が美しくて丁寧で最高でした。。。 続き待ってますね!

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