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#ワンナイトラブ
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ピコ♪
人事部から届くスケジューラー
宛先は私と営業課長
表題は評価面談の件
日々営業担当の補佐業務に就く私
日常的な課長との接点はほぼ無い
直接的な業務の接点もほぼ無い
だが
組織上は直属の上司にあたる
かつて旧体制時に年一回だった評価面談は
新体制に移行後
人事制度の見直しにより四半期毎に
新体制に移行後初の
評価面談を迎える
***
「どうだい水川さん、問題なくやれてる?」
通路で出くわした佐々木課長と共に
予定された会議室へと向かう
「はい、何とか。まだ慣れない事も多々ありますが……」
「ははは、まあそうだよな、そこはみんな同じだ」
「水川さんは実直だから大丈夫、直ぐに慣れますよ」
そう朗らかにほほ笑む佐々木課長
私はこれからこの人に評価される
その薄ら笑いが逆に怖い
コンッコンッ!
「失礼します」
会議室にはポツンと人事課長一人
会議室の机の配置は対面式
私は入口付近の席へ
佐々木課長は正面の対面側へ
人事課長と並んで座る
「高橋さん朝からぶっ通しですか?」
「いやぁそうなんですよ、しばらくは続きますね……」
鞄とマイカップと持ち込み
長期戦の構えの人事課長
評価面談を連続で行っているのだろう
年一回だったものが四半期毎
単純計算で四倍
さらにその評価制度自体の抜本的変革
小山田さんが言っていたように
人事部は大変革の只中にあるのが伺い知れた
「では早速、既に全体へ通達はしてますが色々と評価制度が変わります。上司が一方的に評価するのではなく、今後は相互でのレビューを行う形になります」
「まだ社内的なシステムインフラが全て整ってないので今回に限り前評価制度からの移行期という事でハイブリッド型で行います」
そう言われても正直よくわからなかった
「難しく考えなくても大丈夫です。根本的な部分は同じですから」
怪訝そうな表情を浮かべる私に
佐々木課長がゆるくフォローを入れてくれた
「今後はKPI、つまり業務評価指標を上司と共に相互合意の上で定め、その指標を基に評価を行う運びになります」
「評価は今回までは今まで通り、本日KPIを定め、次回以降それに沿う形になります。ここまでは大丈夫ですか?」
「……はい」
完全に「はにゃ?」だった
だが
恐らくここまでは既に通達されていた内容
全肯定で流した
どうせ私には関係のない話だ
「では佐々木課長の方から……宜しいですか?」
人事課長からの大枠の説明を経て
営業課長からの評価へ移る
「水川さんは勤務態度も良く非常に良くやってくれています。業務内容が曖昧な中、最大限すべき事をしてくれている」
「既知の通り現在進行形で会社は変革の只中にあります。営業補佐の様な曖昧なポジションは今後は廃止する運びとなりました」
(……え?)
一瞬時が止まった
一瞬耳を疑った
青天の霹靂だった
評価面談は額面通り
評価面談だと思っていた
唖然とする私を諭すように
和やかな口調で佐々木課長が続ける
「そして新たに営業本部直属の営業戦略室が設置される事になりました。そこには営業を良く知る経験者を求めています」
「そこへ水川さんを主任クラスで迎えたいと思っています」
「私の一存ではありません。水川さんの実績とパフォーマンスを鑑みて、正当な評価の上での推挙です」
「人事の高橋課長含めての結論ですが……本人の希望もあると思うので」
展開が早すぎて脳が追い付かない
想定外が多すぎて思考が追い付かない
固まる私に高橋課長がフォローを入れる
「補佐業務は本来営業担当各々がすべき事。人員が足りなければ充足するし、適正やパフォーマンスが足りなければ異動等、処遇を考えます」
「人材の適正を正しく評価し、適材適所を行うのも今後の人事制度の一環となります」
「データの一元管理が始まったのはご存じですよね?草案から資料の制作、更新、改定……いつ、誰が、何を、どうしたか、全てのログがシステム上に残ります」
「全社員の行った業務も仕事量も、そしてそれらの成果も、全て総合的に判断した上での評価です」
「水川さんを主任クラスで迎える事は既に上の承認も下りています。私としては是非とも自信を持ってこのオファーを受けて頂きたい、如何ですか?」
高橋課長のフォローを受けて尚
私は固まったまま
そんな事を急に告げられても
結論など出せるはずがない
何を判断基準にすべきかさえ分からない
私の思考は八方塞がり
行き場を失い
完全に停止していた
「でも私……補佐ですよ?補佐的な業務しかしてませんし、他により適切な営業メンバーいると思うのですが……」
「お伝えした通り全て総合的に判断した上での評価です。これまで水川さんがどれだけ貢献されたか理解しています」
「旧体制では見えなかった部分まで360°評価を行った上での結論です。水川さん以上の適任はいません」
「決して悪い話ではないと思いますよ。営業戦略室は営業本部直属の非常に重要なポジションです。営業として勤しんだ水川さんの経験と実績を生かすには最適と断言できます」
「そもそも営業戦略室が何をするのかさえ分からなくて……」
「新設される部署です、研修もあるのでそこは心配無用ですよ。社長含め経営陣との接点もあり、正に会社の根幹を担い経営に関わるポジションです」
(……社長との接点?)