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血華大戦の戦勝国家にして、経済大国の宗教国家ヘルエアウィム。

その首都タナトスの中心には、並みの城より大きい学舎ハデシスがそびえ立っている。

「あの‥…‥本当にやらなくちゃいけないですか?」

学舎から出る際、悲鳴を上げて近隣住民の注目を集めた少女、ステラが質問した。

「何回も言うが、重ねて何度も言うが、今回の課題まで未提出だと、お前は退学処分だ‥…‥」

学舎ハデシスには、課題というシステムがある。

課題と言っても、夏休み終了三日前にやるそれとは違う。

ハデシスでの課題とは、タナトスやその付近に住んでいる人達から依頼を受け、魔獣討伐や素材採集などをし、依頼完了のメダルを提出する事を意味する。

学舎の方は教育の一環だと主張しているが、課題と呼ばれてるだけで、実質、冒険者組合のクエストと同じだ。

薄暗い洞窟の中をステラと男の教師が進む。

水辺が見えたところで、教師が足を止めた。

それにつられてステラも足を止めた。

「お前が今まで、何回課題を提出していないか分かるか?」

暗い道を照らす松明をステラに渡しながら、教師が言った。

「‥…‥三回ぐらい?」

「ハァー‥…‥七百五十三回だ‥…‥お前を退学させろと上が騒いでいたから、担当教師の俺がここまで苦労する‥…‥言いたいことは分かるよな?」

世界中に広がっている冒険者組合だが、タナトスには、冒険者組合が存在しない。

何故なら、学舎の生徒達がその役割を”課題”という形で代わりに果たしているからだ。

それだけじゃない。学舎の課題は、タナトスの住民との信頼関係を守る大きな手段の一つだ。

でも、ステラは異分子だ。長年をかけて築いた信頼関係を壊しかねない異分子だ。

万が一、ここで失敗したら、今まで散々やらかした分、退学だけではすまないだろう。

「‥…‥お前が今まで、課題を受けなかった分、今回の課題の難易度は少し高めだ。」

「少し‥…‥」

「南方の鉱山に、繁殖期のインパルスドラゴンが住み着いたらしい。それを早急に討伐して欲しいそうだ。」

「‥…‥先生ってジョークがうまいですね。」

「言ったろ?難易度は高めだと‥…‥」

「先生は少女の死体に興奮する性癖ですか?それのどこが少しですか‥…‥絶対嫌です。」

「まぁ、落ち着け。小規模の古い砦があるらしいから、それを使えば、なんとかなる。多分‥…‥」

「一人で砦を扱えると思うんですか?」

ステラの文句を聞こえない振りをしながら、ステラの背中を洞窟の奥に小さく押した。

洞窟の奥には転移用ポータルが設置されている。

遠くまで依頼を受けた場合、このポータルを使って、依頼を達成しに行く。

「‥…‥死んだら恨みますよ‥…‥」

「どの口で言うんだ‥…‥自業自得だろう‥…‥」

ステラがスタスタと歩み、ポータルの前に立った。

「ステラです。転移の許可を‥…‥」

ポータルに話しかけたステラに不思議な声が返ってくる。

『転移を許可する。』

ポータルの青白い光が、さらに光を増した。

そこに一歩一歩とステラは入っていった。

それを見送る教師が呟いた。

「なんか、言い忘れた気がする‥…‥まぁ、良いか。」



再試験二日前。

「ウィーハレリザード!ゲイズゴブリン!」

『ヴィーハレリザードとグイザゴブリンだ。』

「んもー!」

『”んもー!“じゃない。まじでやべーよ。後、二日だよ。』

再試験まで‥…‥後二日!

魔王の娘の中指に転生しました。

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